暮らしと経済
労働力不足とは? なぜ人手が足りないのか
労働力不足 (人手不足) とは、仕事はあるのに、それを担う人が集まらない状態のことです。日本では多くの企業が「人が足りない」と答えていて、特に介護、建設、運転などの仕事で目立ちます。お店の営業時間、バスの本数、介護サービスなど、身近な暮らしに影響します。
データ確認日:
-
有効求人倍率
1.22倍
2025年平均
-
雇用人員判断DI (全規模・全産業)
−38
2026年9月調査
-
外国人労働者数
257万人
2025年10月末時点 (届出の集計)
原因から影響までの流れ
- 働く世代の減少
- 仕事と働き手のミスマッチ
- 労働力不足
- サービスの縮小・賃金やコストの上昇
矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。
いま何が起きている?
人手不足を見る代表的な数字が有効求人倍率です。ハローワークで仕事を探している人1人に対して、求人が何件あるかを表します。2025年平均は1.22倍で、前の年の1.25倍から少し下がりました。2026年8月は1.18倍 (季節調整値) です。[1][2]
倍率だけを見ると不足は強まっていないように見えますが、企業の実感は違います。日本銀行の短観 (企業へのアンケート調査) には、従業員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた割合を引いた雇用人員判断DIがあります。2026年9月調査では、全規模・全産業で−38でした。マイナスが大きいほど、不足と感じる企業が多いことを表します。[3]
不足感は、中小企業 (−42) や非製造業 (−44) で特に強くなっています。大企業は−29でした。[3]
働く人を補う動きも進んでいます。日本で働く外国人は2025年10月末時点で257万1,037人と、届出が義務になった2007年以降で最も多くなりました。[6]
数字で見る
- 建設躯体工事 8.25倍
- 保安 (警備など) 6.99倍
- 介護サービス 3.89倍
- 自動車運転 2.54倍
- 接客・給仕 2.31倍
- 職業計 1.06倍
- 一般事務 0.29倍
職業によって差が大きいことが分かります。介護サービスの仕事は求職者1人に対して求人が3.89件あるのに対し、一般事務は0.29件です。[4]
| 企業の規模 | 製造業 | 非製造業 | 全産業 |
|---|---|---|---|
| 大企業 | −22 | −37 | −29 |
| 中堅企業 | −30 | −44 | −38 |
| 中小企業 | −32 | −47 | −42 |
| 全規模 | −29 | −44 | −38 |
なぜ起きる?
主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は、働く世代そのものが減っていることです。15〜64歳の人口は、国勢調査で最も多かった1995年の8,716万人から、2025年には7,348万人になりました。[5]
2つ目は、すでに多くの人が働いていることです。2025年平均の就業者は6,828万人で5年連続で増え、15〜64歳で仕事をしている人の割合は80.0%に達しました。新しく働き始められる人が、少なくなってきています。[7]
3つ目は、仕事と働き手のミスマッチ (かみ合わないこと) です。求人が多い仕事と、人が希望する仕事が一致していません。職種のほか、働く場所、時間、賃金などの条件が合わないこともあります。[4]
どの要因がどれだけ効いているかは、産業や地域によって違います。人が足りないのか、いまの賃金や条件では人が集まらないのかは、分けて考える必要があります。
よくある誤解
よくある誤解
「人手不足は、どの仕事でも同じように起きている」
実際は
職業によって大きな差があります。2026年8月の有効求人倍率は、建設躯体工事が8.25倍、介護サービスが3.89倍だった一方で、一般事務は0.29倍でした。[4]
よくある誤解
「有効求人倍率が下がったので、人手不足は解消に向かっている」
実際は
有効求人倍率は、ハローワークを通した求人と求職だけを数えた数字です。企業に直接たずねる短観では、2026年9月調査の雇用人員判断DIが−38で、先行きは−41と、さらに不足が強まる見通しになっています。ひとつの数字だけで判断しないことが大切です。[2][3]
よくある誤解
「仕事を探している人がいるのだから、人手不足ではない」
実際は
2025年平均の完全失業者は176万人、完全失業率は2.5%でした。仕事を探す人と求人の両方があっても、職種や場所、条件が合わなければ、採用には結びつきません。[7]
どんな選択肢がある?
どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。
賃金や働く条件をよくする
- 期待できること
- 人が集まりにくい仕事に、働き手が移りやすくなります。働く人の収入も増えます。
- 負担・副作用
- 企業の費用が増え、商品やサービスの値段に上乗せされることがあります。値上げが難しい企業や、価格が制度で決まる介護などでは、続けにくくなるおそれがあります。
機械やデジタル技術で省力化する
- 期待できること
- 少ない人数でも仕事を回せるようになり、働く人の負担も減らせます。
- 負担・副作用
- 設備への投資が必要で、資金に余裕のない中小企業では進みにくい面があります。人の手が欠かせない仕事もあります。
女性や高齢の人が働きやすい環境をつくる
- 期待できること
- 短い時間や体力に合わせた働き方を選べれば、働ける人が増えます。
- 負担・副作用
- 働く人の割合はすでに高く、伸ばせる余地は限られます。保育や介護の支えも必要です。
外国から来て働く人の受け入れを広げる
- 期待できること
- 不足の大きい分野の働き手を、比較的早く補えます。育成就労制度が、一部の規定を除き2027年4月1日に始まる予定です。[8]
- 負担・副作用
- 日本語教育や住まい、働く条件の確保、地域での共生に費用と手間がかかります。どこまで広げるかは意見が分かれます。
学び直しや転職を支える
- 期待できること
- 求人の多い仕事に必要な技能を身につければ、仕事と人のミスマッチを減らせます。
- 負担・副作用
- 学ぶための時間と費用がかかり、すぐには効果が出ません。本人が希望しない仕事への移動を促すことにならないよう、注意が必要です。
これから見るべき指標
- 有効求人倍率
- 厚生労働省が毎月公表します。ハローワークでの求人と求職から計算した数字です。
- 雇用人員判断DI (日銀短観)
- 企業が感じている人手の過不足を表します。3か月ごとの調査で、2026年9月調査は10月1日に公表されました。
- 職業別の有効求人倍率
- どの仕事で人が足りないかが分かります。毎月の一般職業紹介状況の参考統計表に載っています。
- 就業者数・完全失業率
- 総務省の労働力調査で公表されます。2025年平均の結果は2026年1月に公表されました。
- 外国人労働者数
- 事業主からの届出を集計した数字で、毎年10月末時点の状況が公表されます。2025年10月末は257万1,037人でした。
ほかの問題とのつながり
この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。
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人口と家族
生産年齢人口の減少
記事あり働く世代 (15〜64歳) の減少が、人手不足のいちばん大きな背景です。
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暮らしと経済
生産性の伸び悩み
記事あり少ない人数で同じ仕事をこなせるようになれば、人手不足はやわらぎます。生産性が伸びないと、不足はそのまま表に出ます。
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暮らしと経済
移民・外国人労働者政策
記事あり外国から来て働く人は増えており、受け入れをどこまで、どのように進めるかが議論になっています。
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暮らしと経済
技能不足・リスキリング不足
記事あり求人の多い仕事に必要な技能を学べる機会が少ないと、仕事と人がかみ合わない状態が続きます。
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医療と健康
医療・介護提供体制と人材不足
記事あり介護の仕事は求人倍率が特に高く、必要なサービスを届けられなくなるおそれがあります。
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地域とインフラ
インフラ老朽化
記事あり建設の仕事の担い手が足りないと、古くなった道路や橋、水道の点検や修理が進みにくくなります。
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地域とインフラ
地域公共交通の維持
記事あり運転手が足りないと、バスなどの本数を減らしたり、路線をやめたりすることにつながります。
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食料とエネルギー
農業就業者高齢化・農地維持
記事あり農業でも担い手が足りず、高齢化とあわせて農地を保つことが難しくなっています。
出典・更新日
データ確認日:
- [1] 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年12月分及び令和7年分)について」 公表: 2026年1月 / 確認: 2026年10月11日
- [2] 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」 公表: 2026年10月 / 確認: 2026年10月11日
- [3] 日本銀行「短観(概要) 2026年9月 第210回 全国企業短期経済観測調査」 公表: 2026年10月 / 確認: 2026年10月11日
- [4] 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分) 参考統計表」 公表: 2026年10月 / 確認: 2026年10月11日
- [5] 総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計 結果の概要 (表II-1-1 年齢3区分別人口の推移)」 公表: 2026年9月 / 確認: 2026年10月11日
- [6] 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」 公表: 2026年1月 / 確認: 2026年10月11日
- [7] 総務省統計局「労働力調査(基本集計) 2025年(令和7年)平均結果の要約」 公表: 2026年1月 / 確認: 2026年10月11日
- [8] 出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」 公表: 2026年8月 / 確認: 2026年10月11日
誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。