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暮らしと経済

労働力不足とは? なぜ人手が足りないのか

労働力不足 (人手不足) とは、仕事はあるのに、それを担う人が集まらない状態のことです。日本では多くの企業が「人が足りない」と答えていて、特に介護、建設、運転などの仕事で目立ちます。お店の営業時間、バスの本数、介護サービスなど、身近な暮らしに影響します。

データ確認日:

原因から影響までの流れ

  1. 働く世代の減少
  2. 仕事と働き手のミスマッチ
  3. 労働力不足
  4. サービスの縮小・賃金やコストの上昇

矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。

いま何が起きている?

人手不足を見る代表的な数字が有効求人倍率です。ハローワークで仕事を探している人1人に対して、求人が何件あるかを表します。2025年平均は1.22倍で、前の年の1.25倍から少し下がりました。2026年8月は1.18倍 (季節調整値) です。[1][2]

倍率だけを見ると不足は強まっていないように見えますが、企業の実感は違います。日本銀行の短観 (企業へのアンケート調査) には、従業員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた割合を引いた雇用人員判断DIがあります。2026年9月調査では、全規模・全産業で−38でした。マイナスが大きいほど、不足と感じる企業が多いことを表します。[3]

不足感は、中小企業 (−42) や非製造業 (−44) で特に強くなっています。大企業は−29でした。[3]

働く人を補う動きも進んでいます。日本で働く外国人は2025年10月末時点で257万1,037人と、届出が義務になった2007年以降で最も多くなりました。[6]

数字で見る

職業別の有効求人倍率 (2026年8月、パートを含む常用、季節調整をしていない値)
  • 建設躯体工事 8.25倍
  • 保安 (警備など) 6.99倍
  • 介護サービス 3.89倍
  • 自動車運転 2.54倍
  • 接客・給仕 2.31倍
  • 職業計 1.06倍
  • 一般事務 0.29倍

出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分) 参考統計表」

職業によって差が大きいことが分かります。介護サービスの仕事は求職者1人に対して求人が3.89件あるのに対し、一般事務は0.29件です。[4]

雇用人員判断DI (2026年9月調査、「過剰」−「不足」)
企業の規模製造業非製造業全産業
大企業−22−37−29
中堅企業−30−44−38
中小企業−32−47−42
全規模−29−44−38

出典: 日本銀行「短観(概要) 2026年9月 第210回 全国企業短期経済観測調査」

なぜ起きる?

主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は、働く世代そのものが減っていることです。15〜64歳の人口は、国勢調査で最も多かった1995年の8,716万人から、2025年には7,348万人になりました。[5]

2つ目は、すでに多くの人が働いていることです。2025年平均の就業者は6,828万人で5年連続で増え、15〜64歳で仕事をしている人の割合は80.0%に達しました。新しく働き始められる人が、少なくなってきています。[7]

3つ目は、仕事と働き手のミスマッチ (かみ合わないこと) です。求人が多い仕事と、人が希望する仕事が一致していません。職種のほか、働く場所、時間、賃金などの条件が合わないこともあります。[4]

どの要因がどれだけ効いているかは、産業や地域によって違います。人が足りないのか、いまの賃金や条件では人が集まらないのかは、分けて考える必要があります。

よくある誤解

よくある誤解

「人手不足は、どの仕事でも同じように起きている」

実際は

職業によって大きな差があります。2026年8月の有効求人倍率は、建設躯体工事が8.25倍、介護サービスが3.89倍だった一方で、一般事務は0.29倍でした。[4]

よくある誤解

「有効求人倍率が下がったので、人手不足は解消に向かっている」

実際は

有効求人倍率は、ハローワークを通した求人と求職だけを数えた数字です。企業に直接たずねる短観では、2026年9月調査の雇用人員判断DIが−38で、先行きは−41と、さらに不足が強まる見通しになっています。ひとつの数字だけで判断しないことが大切です。[2][3]

よくある誤解

「仕事を探している人がいるのだから、人手不足ではない」

実際は

2025年平均の完全失業者は176万人、完全失業率は2.5%でした。仕事を探す人と求人の両方があっても、職種や場所、条件が合わなければ、採用には結びつきません。[7]

どんな選択肢がある?

どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。

賃金や働く条件をよくする

期待できること
人が集まりにくい仕事に、働き手が移りやすくなります。働く人の収入も増えます。
負担・副作用
企業の費用が増え、商品やサービスの値段に上乗せされることがあります。値上げが難しい企業や、価格が制度で決まる介護などでは、続けにくくなるおそれがあります。

機械やデジタル技術で省力化する

期待できること
少ない人数でも仕事を回せるようになり、働く人の負担も減らせます。
負担・副作用
設備への投資が必要で、資金に余裕のない中小企業では進みにくい面があります。人の手が欠かせない仕事もあります。

女性や高齢の人が働きやすい環境をつくる

期待できること
短い時間や体力に合わせた働き方を選べれば、働ける人が増えます。
負担・副作用
働く人の割合はすでに高く、伸ばせる余地は限られます。保育や介護の支えも必要です。

外国から来て働く人の受け入れを広げる

期待できること
不足の大きい分野の働き手を、比較的早く補えます。育成就労制度が、一部の規定を除き2027年4月1日に始まる予定です。[8]
負担・副作用
日本語教育や住まい、働く条件の確保、地域での共生に費用と手間がかかります。どこまで広げるかは意見が分かれます。

学び直しや転職を支える

期待できること
求人の多い仕事に必要な技能を身につければ、仕事と人のミスマッチを減らせます。
負担・副作用
学ぶための時間と費用がかかり、すぐには効果が出ません。本人が希望しない仕事への移動を促すことにならないよう、注意が必要です。

これから見るべき指標

有効求人倍率
厚生労働省が毎月公表します。ハローワークでの求人と求職から計算した数字です。

出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」

雇用人員判断DI (日銀短観)
企業が感じている人手の過不足を表します。3か月ごとの調査で、2026年9月調査は10月1日に公表されました。

出典: 日本銀行「短観(概要) 2026年9月 第210回 全国企業短期経済観測調査」

職業別の有効求人倍率
どの仕事で人が足りないかが分かります。毎月の一般職業紹介状況の参考統計表に載っています。

出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分) 参考統計表」

就業者数・完全失業率
総務省の労働力調査で公表されます。2025年平均の結果は2026年1月に公表されました。

出典: 総務省統計局「労働力調査(基本集計) 2025年(令和7年)平均結果の要約」

外国人労働者数
事業主からの届出を集計した数字で、毎年10月末時点の状況が公表されます。2025年10月末は257万1,037人でした。

出典: 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」

ほかの問題とのつながり

この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。

  • 人口と家族

    働く世代 (15〜64歳) の減少が、人手不足のいちばん大きな背景です。

  • 暮らしと経済

    少ない人数で同じ仕事をこなせるようになれば、人手不足はやわらぎます。生産性が伸びないと、不足はそのまま表に出ます。

  • 暮らしと経済

    外国から来て働く人は増えており、受け入れをどこまで、どのように進めるかが議論になっています。

  • 暮らしと経済

    求人の多い仕事に必要な技能を学べる機会が少ないと、仕事と人がかみ合わない状態が続きます。

  • 地域とインフラ

    インフラ老朽化

    記事あり

    建設の仕事の担い手が足りないと、古くなった道路や橋、水道の点検や修理が進みにくくなります。

  • 地域とインフラ

    運転手が足りないと、バスなどの本数を減らしたり、路線をやめたりすることにつながります。

出典・更新日

データ確認日:

  1. [1] 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年12月分及び令和7年分)について」 公表: 2026年1月 / 確認: 2026年10月11日
  2. [2] 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」 公表: 2026年10月 / 確認: 2026年10月11日
  3. [3] 日本銀行「短観(概要) 2026年9月 第210回 全国企業短期経済観測調査」 公表: 2026年10月 / 確認: 2026年10月11日
  4. [4] 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分) 参考統計表」 公表: 2026年10月 / 確認: 2026年10月11日
  5. [5] 総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計 結果の概要 (表II-1-1 年齢3区分別人口の推移)」 公表: 2026年9月 / 確認: 2026年10月11日
  6. [6] 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」 公表: 2026年1月 / 確認: 2026年10月11日
  7. [7] 総務省統計局「労働力調査(基本集計) 2025年(令和7年)平均結果の要約」 公表: 2026年1月 / 確認: 2026年10月11日
  8. [8] 出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」 公表: 2026年8月 / 確認: 2026年10月11日

誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。