食料とエネルギー
農業の担い手の高齢化とは? 農地を誰が守るのか
農業を主な仕事にしている人は、2026年に100万人を下回り、平均年齢は67.7歳です。引退する人が増えると、田畑や水路を手入れする人がいなくなり、食べものをつくる力が弱まるおそれがあります。毎日の食卓を支えているのは誰か、という問題です。
データ確認日:
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基幹的農業従事者 (個人経営体)
98万6,600人
2026年2月1日現在 (標本調査による推定値)
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基幹的農業従事者の平均年齢
67.7歳
2026年2月1日現在 (標本調査による推定値)
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10年後の受け手が決まっていない農地
134万ha
2025年4月末時点 (地域計画の集計)
原因から影響までの流れ
- 高齢の農業者の引退
- あとを継ぐ人の不足
- 担い手の減少・農地の受け手不足
- 荒れた農地の増加・生産力の低下
矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。
いま何が起きている?
ふだん農業を主な仕事にしている人を基幹的農業従事者といいます。2026年2月1日現在で98万6,600人 (推定値) となり、1年前より4万9,600人 (4.8%) 減りました。平均年齢は67.7歳です。[2]
年齢別に見ると、65歳以上が全体のおよそ7割を占め、75歳以上だけで35.3%にのぼります。49歳以下は合わせて12%ほどです。[2]
一方で、会社などの法人として農業を営む経営体は3万4,600 (推定値) に増えました。農業を続ける経営体が、やめた人の農地を引き受けて大きくなる動きも進んでいます。[2]
数字で見る
- 2015年 175.7万人
- 2020年 136.3万人
- 2025年 103.6万人
5年ごとにすべての農業経営体を調べる農林業センサスでは、基幹的農業従事者は2015年の175万7千人から、2025年には103万6千人になりました。直近の5年間だけで32万7千人 (24.0%) 減っています。[1]
| 年齢 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 49歳以下 | 12万4,100人 | 12.6% |
| 50〜64歳 | 16万9,600人 | 17.2% |
| 65〜74歳 | 34万4,800人 | 34.9% |
| 75歳以上 | 34万8,000人 | 35.3% |
農地の面でも変化が出ています。耕作されずに荒れた荒廃農地は、2025年3月31日現在で25.7万haあり、このうち15.9万haは元の農地に戻すのが難しいと見込まれています。[4]
なぜ起きる?
主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は、いま農業を支えている世代が引退の時期を迎えていることです。75歳以上が3分の1を超えており、この先も引退する人が続くと見込まれます。[2]
2つ目は、新しく農業を始める人の数が、減る分に追いついていないことです。2025年の新規就農者は4万2,850人で、このうち49歳以下は1万4,410人でした。同じ1年間に、基幹的農業従事者は4万9,600人減っています。[3][2]
3つ目は、農地を引き受ける人が見つからない地域があることです。市町村が10年後の農地の使い方をまとめた地域計画では、対象の422万haのうち134万ha (約3割) で受け手が決まっていませんでした。この割合は地域によって9%から60%まで差があります。[5]
このほか、収入の見通し、農地が小さく分かれていること、地域の人口の減少なども関係するとされています。どの要因が大きいかは、作物や地域によって異なります。
よくある誤解
よくある誤解
「農家の数が減れば、同じだけ農地もなくなる」
実際は
やめた人の農地を、残った経営体が引き受ける動きがあります。1経営体あたりの経営耕地面積は、2015年の2.5haから2025年には3.6haに広がりました。ただし、10年後の受け手が決まっていない農地も134万haあり、すべてを引き受けきれているわけではありません。[1][5]
よくある誤解
「若い人はまったく農業に入ってこない」
実際は
2025年には49歳以下の1万4,410人が新しく農業を始めました。このうち7,030人は、農業法人などに雇われて働く形です。それでも49歳以下の新規就農者は、2021年の1万8,420人から減っています。[3]
よくある誤解
「荒れた農地は、必要になればいつでも元に戻せる」
実際は
荒廃農地25.7万haのうち、15.9万haは木が生えるなどして、農地に戻すのが難しいと見込まれています。2024年度に新しく荒れた面積は2.4万haで、再び使えるようになった面積の0.8万haを上回りました。[4]
どんな選択肢がある?
どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。
農地を集めて、少ない人数で広く耕す
- 期待できること
- 意欲のある経営体に農地をまとめれば、1人あたりの生産量を増やしやすくなります。2025年には、20ha以上の経営体が経営耕地面積の49.7%を占めるようになりました。[1]
- 負担・副作用
- 山あいの小さな田畑など、まとめにくい農地は引き受け手が見つかりにくくなります。大きな経営体がやめたときの影響も大きくなります。
新しく農業を始める人や、雇われて働く人を増やす
- 期待できること
- 研修や資金の支援、法人での雇用が広がれば、農家の出身でない人も農業に入りやすくなります。
- 負担・副作用
- 技術を身につけ、経営が安定するまでに時間がかかります。支援のための公費が必要で、途中でやめる人が出ることもあります。
機械やデータを使って作業を省く (スマート農業)
- 期待できること
- 自動で走るトラクターやドローンなどで、少ない人数でも作業をこなしやすくなり、体への負担も減らせます。
- 負担・副作用
- 機械の費用が高く、小さな経営や山あいの農地では元を取りにくいことがあります。使いこなす人を育てることも必要です。
守る農地に優先順位をつける
- 期待できること
- すべてを維持できない地域では、手間のかからない使い方や放牧、林地に変えることも含めて計画すれば、荒れ方を抑えやすくなります。
- 負担・副作用
- 農地として使うのをやめると、元に戻すのは簡単ではありません。どこを残すかを地域で決めるのは難しく、合意に時間がかかります。
これから見るべき指標
- 基幹的農業従事者の数と平均年齢
- 毎年2月1日現在の状況が調べられます。2026年分は2026年6月30日に公表されました。5年に1度は、全数を調べる農林業センサスの数字になります。
- 新規就農者数 (49歳以下)
- 1年間に新しく農業を始めた人の数です。2025年分は2026年8月に公表されました。
- 荒廃農地の面積
- 耕作されずに荒れた農地の面積です。2024年度分 (2025年3月31日現在) は2025年12月に公表されました。
- 受け手が決まっていない農地の面積
- 市町村がつくる地域計画で、10年後に耕す人が決まっていない農地の面積です。計画の見直しとともに変わります。
- 1経営体あたりの経営耕地面積
- 農地の集約がどこまで進んでいるかの目安です。2025年は3.6ha (確定値) でした。
ほかの問題とのつながり
この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。
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食料とエネルギー
食料安全保障・低い食料自給率
記事ありつくる人と農地が減ると、国内で食べものを生産する力が弱まります。
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人口と家族
地方衰退・過疎化
記事あり農業は多くの地方で主な仕事の一つです。地域の人口が減ると、あとを継ぐ人も、水路や農道を共同で管理する人も減ります。
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暮らしと経済
労働力不足
記事あり働く世代が減るなかで、農業もほかの産業と働き手を取り合うことになります。
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気候・自然・災害
気候変動・猛暑影響
記事あり猛暑や大雨は作物の出来や農作業の安全に影響します。高齢の農業者にとっては、夏の作業の負担がより重くなります。
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暮らしと経済
移民・外国人労働者政策
記事あり人手を補う方法の一つとして、外国人材の受け入れがあります。どこまで、どのように受け入れるかについては、さまざまな意見があります。
出典・更新日
データ確認日:
- [1] 農林水産省「2025年農林業センサス結果の概要 (確定値) 農林業経営体調査」 公表: 2026年3月 / 確認: 2026年10月11日
- [2] 農林水産省「令和8年農業構造動態調査結果 (令和8年2月1日現在)」 公表: 2026年6月 / 確認: 2026年10月11日
- [3] 農林水産省「令和7年新規就農者調査結果」 公表: 2026年8月 / 確認: 2026年10月11日
- [4] 農林水産省「令和6年度の荒廃農地面積について (令和7年3月31日現在)」 公表: 2025年12月 / 確認: 2026年10月11日
- [5] 農林水産省「地域計画の策定状況 (令和7年4月末時点)」 公表: 2025年9月 / 確認: 2026年10月11日
誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。