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医療と健康

医療・介護の人手不足とは? 支えを必要とする人が増え、支える人が足りない

介護を必要とする人が増え続ける一方で、介護の現場で働く人は増えなくなっています。自分や家族が、必要なときに医療や介護を受けられるかどうかにかかわる問題です。

データ確認日:

原因から影響までの流れ

  1. 高齢化
  2. 医療・介護を必要とする人が増える
  3. 働く人の確保が追いつかない
  4. サービスを受けにくくなる・家族の負担が増える

矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。

いま何が起きている?

介護保険のサービスで働く介護職員は、2024年度 (10月1日現在) で212.6万人です。2022年度の215.4万人から2023年度に212.6万人へ減り、2024年度も同じ水準でした。[1]

一方、介護や支援が必要と認定された人は増え続けていて、2024年度は720万人です。[1]

都道府県の推計をまとめた結果では、介護職員は2026年度に約240万人、2040年度に約272万人が必要とされています (2024年7月公表)。2022年度の約215万人から、2026年度までに毎年約6.3万人ずつ増やす計算でしたが、実際の職員数は増えていません。[2][1]

数字で見る

介護職員数の推移 (各年度10月1日現在)
  • 2019年度 210.6万人
  • 2020年度 211.9万人
  • 2021年度 214.9万人
  • 2022年度 215.4万人
  • 2023年度 212.6万人
  • 2024年度 212.6万人

出典: 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 (第263回) 資料1「介護人材確保に向けた処遇改善等」」

介護職員の必要数 (2024年7月公表の推計)
年度必要数2022年度 (約215万人) との差
2026年度約240万人+約25万人
2040年度約272万人+約57万人

出典: 厚生労働省「介護人材確保に向けた取組 (第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について)」

有効求人倍率は、仕事を探している人1人に対して何件の求人があるかを表す数字です。2025年度は、全職業の1.10倍に対し、介護関係の仕事は3.98倍でした。介護の仕事は、働き手を探しても見つかりにくい状態が続いています。[1]

医療と福祉を合わせた分野で働く人は、2018年度の823万人 (働く人全体の12.5%) から、2040年度には1,065万人 (同18.8%) が必要になるという試算があります (2018年5月公表)。働く人のおよそ5人に1人が医療・福祉で働く計算です。[3]

なぜ起きる?

主な伝わり方は、「支えを必要とする人が増える速さに、働く人の増え方が追いつかない」ことです。介護保険が始まった2000年度と比べると、認定を受けた人は244万人から720万人に、介護職員は54.9万人から212.6万人に増えました。職員は大きく増えてきましたが、ここ数年は増えなくなっています。[1]

65歳以上の人口は、2043年に3,953万人でピークを迎えると推計されています。一方で働く世代は減っていくため、ほかの産業とも働き手を取り合うことになります。[4]

医療や介護の料金は、国が決める公定の価格です。そのため、人手が足りなくても、事業者が自分の判断で料金を上げて賃金を引き上げることは簡単ではありません。賃金を上げるには、保険料・税・利用者負担のどれかを増やす必要があります。

人手不足の度合いは全国で同じではありません。国の資料も、介護分野の有効求人倍率は地域ごとに大きな差があるとしています。[1]

よくある誤解

よくある誤解

「介護の仕事をする人は、ずっと減り続けている」

実際は

介護職員は2000年度の54.9万人から2024年度の212.6万人へ、長い目で見ると大きく増えてきました。問題は、必要な人数の伸びに追いつかず、2023年度以降は増えなくなっていることです (途中で調査方法の変更があります)。[1]

よくある誤解

「2040年に必要な人数は、もう決まっている」

実際は

必要数は一定の仮定をおいた推計です。2018年5月公表の試算では、病気や介護の必要が減り、生産性も上がった場合、2040年度に医療・福祉で必要な人は1,065万人から935万人に減るとされています。[3]

よくある誤解

「人手不足は、全国どこでも同じように起きている」

実際は

介護分野の有効求人倍率には、地域ごとに大きな差があります。高齢化の進み方も地域によってちがうため、対策も地域ごとに考える必要があります。[1]

どんな選択肢がある?

どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。

働く人の賃金や待遇を良くする

期待できること
ほかの産業に移る人を減らし、新しく働く人を集めやすくなります。
負担・副作用
費用は保険料・税・利用者負担でまかなうため、いずれかの負担が増えます。

機器やデジタル技術を使い、仕事の分担を見直す

期待できること
記録や見守りにかかる手間を減らし、少ない人数でもサービスを続けやすくなります。
負担・副作用
導入の費用と慣れるまでの時間がかかります。人の手でなければできない仕事も多く残ります。

外国から働く人を受け入れる

期待できること
国内だけでは足りない働き手を補えます。
負担・副作用
言葉や暮らしの支援が必要です。各国も人材を求めており、来てもらえるとは限りません。

介護が必要になる人を減らす (予防・健康づくり)

期待できること
必要な働き手の数そのものを抑えられます。
負担・副作用
効果が出るまで時間がかかり、どこまで減らせるかは確かではありません。

病院や施設の役割を分け、まとめる

期待できること
限られた人手を必要なところに集められます。
負担・副作用
近くの病院や施設がなくなり、通うのが遠くなる地域が出ます。

これから見るべき指標

介護職員数
厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査にもとづく数字で、毎年10月1日現在の人数が公表されます。

出典: 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 (第263回) 資料1「介護人材確保に向けた処遇改善等」」

介護職員の必要数
3年ごとの介護保険事業計画に合わせて推計されます。いまの数字は2024〜2026年度の計画 (第9期) にもとづくものです。

出典: 厚生労働省「介護人材確保に向けた取組 (第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について)」

介護関係の有効求人倍率
全職業の倍率と比べると、人の集まりにくさがわかります。

出典: 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 (第263回) 資料1「介護人材確保に向けた処遇改善等」」

要介護 (要支援) 認定者数
介護や支援が必要と認定された人の数です。必要なサービスの量の目安になります。

出典: 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 (第263回) 資料1「介護人材確保に向けた処遇改善等」」

ほかの問題とのつながり

この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。

  • 人口と家族

    高齢化

    記事あり

    高齢の人が増えるほど、医療や介護を必要とする人が増えます。

  • 暮らしと経済

    労働力不足

    記事あり

    働く世代が減るなか、医療・介護はほかの産業と働き手を取り合うことになります。

  • 医療と健康

    認知症の増加

    記事あり

    認知症の人が増えると、見守りや介護にあたる人がさらに必要になります。

  • 暮らしと経済

    働く人の賃金を上げるには、保険料・税・利用者負担のいずれかを増やす必要があります。

  • 暮らしと経済

    外国から来て介護の現場で働く人を受け入れることは、人手を確保する方法のひとつです。

  • 技術と未来

    記録の電子化や見守り機器などの活用は、少ない人数でサービスを続ける手段になります。

出典・更新日

データ確認日:

  1. [1] 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 (第263回) 資料1「介護人材確保に向けた処遇改善等」」 公表: 2026年8月 / 確認: 2026年10月11日
  2. [2] 厚生労働省「介護人材確保に向けた取組 (第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について)」 公表: 2024年7月 / 確認: 2026年10月11日
  3. [3] 厚生労働省「「2040年を見据えた社会保障の将来見通し (議論の素材)」に基づくマンパワーのシミュレーション」 公表: 2018年5月 / 確認: 2026年10月11日
  4. [4] 内閣府「令和8年版高齢社会白書 (全体版) 第1章 高齢化の現状と将来像」 公表: 2026年 / 確認: 2026年10月11日

誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。