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医療と健康

認知症の増加とは? 高齢者の約3.6人に1人が当事者か予備群

認知症は、脳の病気などによって記憶や判断の力が下がり、暮らしに支障が出ている状態です。2022年時点で認知症の高齢者は約443万人、その手前の段階とされる軽度認知障害の高齢者は約559万人と推計されています。長生きすれば誰でもなり得るもので、本人と家族をどう支えるかは多くの人に関わります。

データ確認日:

原因から影響までの流れ

  1. 長寿化・高齢者の増加
  2. 認知症の人の増加
  3. 家族の介護負担・見守りの必要
  4. 介護や地域の支え手の不足

矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。

いま何が起きている?

政府の認知症施策推進基本計画によると、2022年時点の認知症の高齢者は約443万人と推計されています。軽度認知障害 (MCI) は、もの忘れなどはあるものの日常生活はおおむね送れている状態で、こちらは約559万人と推計されています。[1]

2つを合わせると1,000万人を超えます。高齢者の約3.6人に1人が、認知症かその予備群にあたる計算です。[1]

65歳未満で発症する若年性認知症の人も、2022年時点で約3.6万人いると推計されています。[1]

暮らしへの影響も数字に表れています。2025年に警察に届け出のあった行方不明者のうち、認知症が原因とされた人は1万7,345人でした。前の年より776人減りましたが、警察庁は依然として高い水準だとしています。[2]

数字で見る

認知症と軽度認知障害 (MCI) の高齢者数 (2022年は推計、2040年は将来推計)
  • 認知症 2022年 443万人
  • 認知症 2040年 584万人
  • MCI 2022年 559万人
  • MCI 2040年 613万人

出典: 厚生労働省「認知症施策推進基本計画 (令和6年12月3日閣議決定)」

年齢や性別ごとの割合が今後も変わらないと仮定すると、2040年には認知症が約584万人、軽度認知障害が約613万人になると見込まれています。合わせて約1,200万人で、高齢者の約3.3人に1人にあたります。[1]

認知症が原因の行方不明者 (各年に届け出を受理した人数)
年人数
2021年1万7,636人
2022年1万8,709人
2023年1万9,039人
2024年1万8,121人
2025年1万7,345人

出典: 警察庁「令和7年における行方不明者届受理等の状況」

認知症は、介護が必要になるきっかけとしても最も多くなっています。2025年の調査では、自宅で暮らす要支援・要介護の人について、介護が必要になった主な原因は認知症が16.7%で最も多く、要介護の人に限ると23.6%でした。[3]

なぜ起きる?

主な伝わり方は、長生きする人が増えたことです。上の将来推計は、年齢や性別ごとの認知症の割合が変わらないと仮定して計算されています。それでも人数が増える見込みなのは、高齢者、とくに年齢の高い人が増えていくためです。[1]

認知症の原因になる病気にはいくつかの種類があり、生活習慣病などとの関係も研究されています。ただ、確実に防ぐ方法は今のところありません。

もう1つは、支える側の変化です。一人暮らしの高齢者や、高齢の夫婦だけの世帯が増えると、家族だけで見守ることが難しくなります。2025年の調査では、介護が必要な人を主に介護している人が同居している割合は46.1%でした。[3]

こうした変化を受けて、2024年1月に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行され、同じ年の12月に政府の基本計画が決まりました。計画の期間は2029年度までのおおむね5年間です。[1]

よくある誤解

よくある誤解

「認知症になると、何も分からなくなり、何もできなくなる」

実際は

政府の基本計画は、こうした考え方が今も根強いとしたうえで、「認知症になってからも、できること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で希望を持って自分らしく暮らし続けられる」という考え方を「新しい認知症観」として示しています。症状や進み方は人によって違います。[1]

よくある誤解

「認知症は高齢者だけの病気だ」

実際は

65歳未満で発症する若年性認知症の人は、2022年時点で約3.6万人と推計されています。18〜64歳の人口10万人あたりでは約50.9人です。働いている世代で発症すると、仕事や家計にも影響します。[1]

よくある誤解

「認知症で行方不明になると、ほとんど見つからない」

実際は

2025年に居場所が確認された1万6,156人のうち、1万1,369人は届け出を受けた当日に、4,487人は2〜3日のうちに見つかっています。一方で、亡くなって見つかった人も573人いました。早く気づいて探し始めることが大切だとされています。[2]

どんな選択肢がある?

どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。

早く気づき、早く相談や診断につなげる

期待できること
本人が元気なうちに、今後の暮らしやお金の管理について自分で考え、準備する時間を持てます。
負担・副作用
診断のあとの支えが足りないと、不安だけが大きくなるおそれがあります。相談や診断を担う医療機関や人材も必要です。

自宅や地域で暮らし続けられるよう支える

期待できること
住み慣れた場所で、なじみの人間関係を保ちながら暮らせます。見守りの仕組みや、お店や交通機関の理解が広がれば、外出もしやすくなります。
負担・副作用
家族の負担が重くなりやすく、仕事との両立が難しくなることがあります。支える人や事業者が少ない地域では成り立ちにくい面があります。

施設や専門的な介護サービスを増やす

期待できること
家族だけでは支えきれないときの受け皿になります。専門の職員によるケアを受けられます。
負担・副作用
建物と人手の両方に費用がかかり、保険料や税、利用者の負担が増えます。介護の担い手の確保も課題です。

予防や治療の研究を進める

期待できること
発症や進行を遅らせることができれば、本人の生活の質が保たれ、介護の必要も減らせる可能性があります。
負担・副作用
効果がどこまで期待できるかは、まだ分かっていません。「予防しなかった本人の責任だ」という見方が広がると、認知症の人への偏見につながるという指摘があります。

これから見るべき指標

認知症・軽度認知障害の人の推計人数
調査研究にもとづく推計値で、毎年は更新されません。現在の数字は2022年時点の推計と、2040年などの将来推計です。

出典: 厚生労働省「認知症施策推進基本計画 (令和6年12月3日閣議決定)」

認知症が原因の行方不明者数
警察に届け出のあった人数です。前年分が毎年6月ごろに公表されます。

出典: 警察庁「令和7年における行方不明者届受理等の状況」

介護が必要になった主な原因
認知症が占める割合が分かります。介護についての項目は、3年ごとの大規模な調査で調べられます。2025年分は2026年7月に公表されました。

出典: 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」

認知症施策推進基本計画の進み具合
計画の期間は2029年度までです。計画には目標と、その達成度を測る指標が定められています。

出典: 厚生労働省「認知症施策推進基本計画 (令和6年12月3日閣議決定)」

ほかの問題とのつながり

この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。

  • 人口と家族

    高齢化

    記事あり

    認知症は年齢が上がるほど増えるため、高齢者、とくに年齢の高い人が増えると、認知症の人も増えていきます。

  • 人口と家族

    一人暮らしだと、変化に気づく人や日々の手助けをする人が身近にいないことがあります。

  • 暮らしと経済

    人とのつながりが少ないと、困りごとが周りに伝わりにくく、支援につながるのが遅れやすくなります。

出典・更新日

データ確認日:

  1. [1] 厚生労働省「認知症施策推進基本計画 (令和6年12月3日閣議決定)」 公表: 2024年12月 / 確認: 2026年10月11日
  2. [2] 警察庁「令和7年における行方不明者届受理等の状況」 公表: 2026年6月 / 確認: 2026年10月11日
  3. [3] 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日

誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。