暮らしと経済
高齢者の孤立・孤独とは? 一人暮らしが増える社会で起きていること
高齢者の孤立とは、家族や地域とのつながりが細くなり、困ったときに頼れる相手がいなくなることです。65歳以上の一人暮らしは2025年に約934万世帯になりました。体調の急変や詐欺の被害に気づく人がいない、という形で表に出てきます。
データ確認日:
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65歳以上の一人暮らし世帯
933万5千世帯
2025年6月 (国民生活基礎調査の推計数)
-
自宅で亡くなった一人暮らしの65歳以上 (警察が取り扱った数)
5万8,919人
2025年 (警察庁の年間集計)
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65歳以上が被害にあった特殊詐欺の認知件数
1万4,273件
2025年 (確定値)
原因から影響までの流れ
- 一人暮らしの高齢者の増加
- 家族・地域とのつながりの細り
- 高齢者の孤立・孤独
- 体調急変や被害の発見の遅れ
矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。
いま何が起きている?
2025年6月時点で、65歳以上の人がいる世帯は2,761万4千世帯あり、全世帯の50.2%を占めます。そのうち一人暮らしは933万5千世帯で、65歳以上の人がいる世帯の33.8%です。一人暮らしの62.4%は女性です。[1]
一人で暮らすことと、孤立していることは同じではありません。ただ、同居する人がいないと、体調の急変や困りごとに周りが気づくのが遅れやすくなります。
警察庁によると、2025年に警察が取り扱った遺体のうち、自宅で亡くなった一人暮らしの人は7万6,941人でした。そのうち65歳以上は5万8,919人です。亡くなってから見つかるまでに31日以上かかった人は、全体で7,148人いました (日数別の人数を合計した数)。[2]
孤独や孤立への対策を国と自治体の仕事として定めた「孤独・孤立対策推進法」は、2024年4月1日に施行されました。[5]
数字で見る
- 2001年 317.9万世帯
- 2010年 501.8万世帯
- 2019年 736.9万世帯
- 2022年 873万世帯
- 2025年 933.5万世帯
65歳以上の一人暮らしは、2001年の317万9千世帯から、2025年には933万5千世帯になりました。24年間でおよそ3倍です。男性の一人暮らしは72万8千世帯から351万1千世帯に増えています。[1]
| 見つかるまでの日数 | 全体 | うち65歳以上 |
|---|---|---|
| 0〜1日 | 2万8,398人 | 2万2,502人 |
| 2〜3日 | 1万5,865人 | 1万2,321人 |
| 4〜7日 | 1万456人 | 8,185人 |
| 8〜14日 | 7,570人 | 5,752人 |
| 15〜30日 | 7,504人 | 5,460人 |
| 31日以上 | 7,148人 | 4,699人 |
| 合計 | 7万6,941人 | 5万8,919人 |
「31日以上」は、資料にある31〜90日、91〜180日、181〜365日、366日以上の人数を足した数です。この統計は警察が取り扱った遺体に限られ、「孤立死」そのものを数えたものではありません。すぐに見つかった人も多く含まれます。[2]
孤独感については、内閣府が16歳以上の2万人を対象に毎年調べています。2025年12月の調査では、孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人は全体の4.5%でした。同居していない家族や友人と直接会って話すことが「全くない」人は9.7%です。[3]
詐欺の被害も目立ちます。2025年の特殊詐欺 (電話などで信じ込ませてお金をだまし取る詐欺) のうち、65歳以上が被害にあったのは1万4,273件で、被害額は841.1億円でした。法人の被害を除いた認知件数の51.3%にあたります。[4]
なぜ起きる?
主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は、一人暮らしの高齢者そのものが増えていることです。65歳以上だけで暮らす世帯のうち、一人暮らしの割合は2001年の47.8%から2025年には53.2%に上がりました。配偶者との死別のほか、結婚しない人や子どもと別に暮らす人が増えたことが背景にあるとされます。[1]
2つ目は、地域や親族とのつながりが細くなっていることです。内閣府の2025年の調査では、地域の活動などに「特に参加はしていない」と答えた人が53.3%でした。これは16歳以上の全体の数字ですが、近所どうしで様子を気にかけ合う機会が少ないことをうかがわせます。[3]
3つ目は、外に出る力や手段が弱まることです。体力が落ちたり、運転をやめたり、バスなどの路線が減ったりすると、買い物や通院、人と会う機会が減ります。耳が遠くなる、もの忘れが増えるといった変化も、会話や手続きを難しくします。
ただし、どの要因がどれだけ効いているかは人によって違います。一人でいることを自分で選んでいる人もいれば、望まないまま孤立している人もいます。外から見える「孤立」と、本人が感じる「孤独」は分けて考える必要があります。
よくある誤解
よくある誤解
「孤独を強く感じているのは、高齢者がいちばん多い」
実際は
内閣府の2025年12月の調査では、孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人の割合は、30歳代から50歳代で高くなっていました。孤独は高齢者だけの問題ではありません。一方で、亡くなったときに気づかれにくいといった「孤立」の危険は、一人暮らしの高齢者で大きくなります。[3]
よくある誤解
「一人暮らしで亡くなる人は、みな長いあいだ気づかれない」
実際は
2025年に自宅で亡くなった一人暮らしの人7万6,941人のうち、2万8,398人は当日か翌日に見つかっています。ただし、31日以上たってから見つかった人も7,148人いました (日数別の人数を合計した数)。[2]
どんな選択肢がある?
どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。
地域での見守りを広げる
- 期待できること
- 近所の人、民生委員、配達や検針の事業者などが異変に気づけば、早く助けにつなげられます。
- 負担・副作用
- 担い手の高齢化や人手不足が課題です。見守られることを負担やプライバシーの侵害と感じる人もいます。
センサーや通信機器を使って見守る
- 期待できること
- 人手が少ない地域でも、電気や水道の使用状況などから異変を早く知ることができます。
- 負担・副作用
- 機器の費用がかかり、使いこなせない人には届きにくくなります。機械が知らせても、駆けつける人が必要です。
通いの場や居場所を増やす
- 期待できること
- 体操や食事の会などに出かける習慣ができると、人と話す機会が増え、体調の変化にも気づかれやすくなります。
- 負担・副作用
- 外出が難しい人や、集まりが苦手な人には届きません。場所と運営する人を続けて確保する必要があります。
相談窓口と支援を1つにつなぐ仕組みを作る
- 期待できること
- 福祉、医療、消費者被害などの窓口が連携すれば、複数の困りごとを抱えた人を取りこぼしにくくなります。孤独・孤立対策推進法は、自治体に関係者の協議会を置くよう努めることを求めています。[5]
- 負担・副作用
- 自治体の職員や予算が必要です。個人の情報をどこまで共有するかという難しさもあります。
これから見るべき指標
- 65歳以上の一人暮らし世帯数
- 厚生労働省の国民生活基礎調査で毎年公表されます。2025年分は2026年7月に公表されました。
- 自宅で亡くなった一人暮らしの人の数
- 警察庁が2024年分から年齢別・日数別に公表しています。見つかるまでの日数が長い人の数に注目します。
- 孤独感がある人の割合
- 内閣府が毎年12月に調べ、翌年4月ごろに公表しています。年齢別の結果も出ます。
- 高齢者の特殊詐欺被害
- 警察庁が年間の認知件数と被害額を公表しています。
ほかの問題とのつながり
この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。
出典・更新日
データ確認日:
- [1] 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日
- [2] 警察庁「令和7年中における死体取扱状況 (警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者) について」 公表: 2026年4月 / 確認: 2026年10月11日
- [3] 内閣府 孤独・孤立対策推進室「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査 (令和7年) 調査結果のポイント」 公表: 2026年4月 / 確認: 2026年10月11日
- [4] 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について (確定値)」 公表: 2026年6月 / 確認: 2026年10月11日
- [5] 内閣府 孤独・孤立対策推進室「孤独・孤立対策推進法」 確認: 2026年10月11日
誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。