暮らしと経済
社会保障の負担とは? 年金・医療・介護のお金は誰が払っているのか
年金・医療・介護などに使われるお金は年間138兆円を超え、その多くを働く世代と企業の保険料、そして税金でまかなっています。給料から引かれる保険料や、将来受け取る給付にかかわる問題です。
データ確認日:
-
社会保障給付費 (ILO基準)
138兆3,019億円
2024年度 (決算値の集計)
-
人口1人あたりの社会保障給付費
111万7,100円
2024年度
-
国民負担率 (税と社会保障の負担が国民所得に占める割合)
46.7%
2024年度 (実績)
原因から影響までの流れ
- 高齢化
- 年金・医療・介護の給付が増える
- 保険料と税の負担が増える
- 働く世代の手取りと企業を圧迫
矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。
いま何が起きている?
社会保障とは、年金、医療、介護、子育て支援など、暮らしのリスクをみんなで支え合うしくみです。そこから支払われたお金の合計を社会保障給付費といいます。
2024年度の社会保障給付費は138兆3,019億円で、前年度より2.0%増えました。人口1人あたりでは111万7,100円です。内訳は年金がもっとも多く、次が医療です。[1]
このお金は、保険料と税金でまかなわれています。2024年度の財源のうち、社会保険料は83兆426億円 (53.3%)、国や自治体のお金である公費負担は58兆4,059億円 (37.5%) でした。[1]
数字で見る
- 年金 57.9兆円
- 医療 44.8兆円
- 福祉その他 (介護を含む) 35.6兆円
| 年度 | 総額 | 対GDP比 |
|---|---|---|
| 2020年度 | 132兆2,206億円 | 23.85% |
| 2021年度 | 138兆7,544億円 | 24.07% |
| 2022年度 | 138兆1,754億円 | 23.35% |
| 2023年度 | 135兆6,317億円 | 21.90% |
| 2024年度 | 138兆3,019億円 | 21.53% |
社会保険料83兆426億円のうち、働く人など本人が払う分 (被保険者拠出) は43兆6,765億円、会社が払う分 (事業主拠出) は39兆3,661億円です。[1]
税金と社会保障の負担を合わせた額が国民所得に占める割合を国民負担率といいます。2024年度 (実績) は46.7%で、2026年度は45.7%になる見通しです。[2]
なぜ起きる?
主な伝わり方は、「給付を受ける人が増え、支える人が減る」という人口の変化です。2025年10月1日時点で、65歳以上の人は3,622万人、総人口の29.4%を占めています。[4]
65歳以上の人1人に対する現役世代 (15〜64歳) の人数は、1950年には12.1人でしたが、2025年には2.0人になりました。2070年には1.3人になると推計されています。[4]
日本の年金・医療・介護は、いま働いている世代の保険料を、いまの給付にあてる部分が大きいしくみです。そのため、高齢の人が増えて働く人が減ると、1人あたりの負担は重くなりやすくなります。
政府が2018年5月に示した見通しでは、社会保障給付費は2040年度に188.2〜190.0兆円、GDPに対する割合は23.8〜24.0%になるとされました (2018年度は121.3兆円、21.5%)。これは各種の計画と一定の経済の仮定 (計画ベース・経済ベースラインケース) をおいた試算で、経済や制度の変化によって結果は変わります。[3]
よくある誤解
よくある誤解
「保険料は、働く本人だけが払っている」
実際は
社会保険料には会社が払う分があります。2024年度は本人分が43兆6,765億円、会社分が39兆3,661億円でした。会社の負担は、賃金や雇用の決め方にも影響します。[1]
どんな選択肢がある?
どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。
給付の伸びを抑える
- 期待できること
- 保険料や税の上昇を抑えられ、働く世代と企業の負担が軽くなります。
- 負担・副作用
- 受けられる医療・介護や年金が減ったり、利用するときの自己負担が増えたりします。
保険料や税を引き上げる
- 期待できること
- いまの給付の水準を保ちやすくなります。
- 負担・副作用
- 手取りや企業の利益が減ります。誰の負担を増やすか (働く世代、高齢の人、企業) で影響の出方が変わります。
負担する力に応じて負担してもらう
- 期待できること
- 収入や資産の多い人が年齢にかかわらず多く負担すれば、働く世代への集中を和らげられます。
- 負担・副作用
- 収入や資産を正確に把握するしくみが必要で、負担が増える人の納得も課題になります。
支える人を増やす (働く高齢者・女性を増やすなど)
- 期待できること
- 保険料を払う人が増え、1人あたりの負担を抑えられます。
- 負担・副作用
- 働きたくても働けない人もいます。働き方や健康の状態は人それぞれで、効果には限りがあります。
これから見るべき指標
- 社会保障給付費
- 国立社会保障・人口問題研究所が年度ごとに集計します。2024年度分は2026年7月に公表されました。
- 国民負担率
- 財務省が実績・実績見込み・見通しを公表します。2026年度の見通しは2026年3月に公表されました。
- 高齢化率と現役世代の人数
- 65歳以上の人1人を何人の現役世代で支えているかがわかります。内閣府の高齢社会白書に毎年のります。
- 介護保険料 (65歳以上)
- 3年ごとに見直されます。2024〜2026年度の全国平均は月6,225円で、前の期 (6,014円) より上がりました。
ほかの問題とのつながり
この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。
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人口と家族
高齢化
記事あり65歳以上の人が増えると、年金・医療・介護の給付が増えます。
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人口と家族
生産年齢人口の減少
記事あり保険料を払う働く世代が減ると、1人あたりの負担が重くなりやすくなります。
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暮らしと経済
財政赤字・政府債務
記事あり社会保障の財源の4割近くは公費で、国や自治体の予算に直接かかわります。
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暮らしと経済
世代間負担の不均衡
記事ありいまの給付をどの世代がどれだけ負担するかは、世代の間の公平さの問題につながります。
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医療と健康
医療・介護提供体制と人材不足
記事あり医療・介護で働く人の賃金を上げるには、保険料・税・利用者負担のいずれかを増やす必要があります。
出典・更新日
データ確認日:
- [1] 国立社会保障・人口問題研究所「令和6年度 社会保障費用統計」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日
- [2] 財務省「令和8年度の国民負担率を公表します」 公表: 2026年3月 / 確認: 2026年10月11日
- [3] 内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し (議論の素材)」 公表: 2018年5月 / 確認: 2026年10月11日
- [4] 内閣府「令和8年版高齢社会白書 (全体版) 第1章 高齢化の現状と将来像」 公表: 2026年 / 確認: 2026年10月11日
- [5] 厚生労働省「第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」 公表: 2024年5月 / 確認: 2026年10月11日
誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。