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暮らしと経済

財政赤字・政府債務とは? 国の借金はなぜ増えるのか

財政赤字とは、国が1年間に使うお金を税金などの収入でまかないきれず、足りない分を借金 (国債) で補っている状態です。積み重なった国の借金は、2026年6月末で約1,347兆円にのぼります。借金の利息や返済は将来の予算から支払われるため、これからの世代の選択肢に関わります。

データ確認日:

原因から影響までの流れ

  1. 高齢化による支出の増加
  2. 税収を上回る歳出
  3. 財政赤字
  4. 政府債務の積み上がり
  5. 利払いの増加・政策の余地の縮小

矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。

いま何が起きている?

2026年度の国の一般会計 (当初予算) は、歳出が122兆3,092億円です。これに対して税収は83兆7,350億円で、29兆5,840億円を新しい借金 (公債金) でまかなう計画でした。歳入のうち借金が占める割合 (公債依存度) は24.2%です。[2]

2026年6月に成立した補正予算のあとでは、歳出は125兆4,228億円、公債金は32兆6,975億円、公債依存度は26.1%になりました。[4][5]

こうした借金が積み重なり、国債と借入金などを合わせた残高は、2026年6月末で1,346兆6,833億円です。このうち、税金などで返していく普通国債は1,110兆8,839億円でした。[1]

数字で見る

普通国債残高の推移 (年度末。2024年度までは実績、2026年度は当初予算の政府案にもとづく見込み)
年度末普通国債残高GDP比
1998年度295兆円55%
2008年度546兆円104%
2018年度874兆円153%
2024年度1,080兆円168%
2026年度 (見込み)1,145兆円166%

出典: 財務省「我が国の財政事情 (令和8年度予算政府案)」

一般政府の債務残高のGDP比 (2025年、IMFの推計値)
  • 日本 229.6%
  • イタリア 136.8%
  • アメリカ 125.1%
  • フランス 116.5%
  • カナダ 113.9%
  • イギリス 103.4%
  • ドイツ 64.4%

出典: 財務省「我が国の財政事情 (令和8年度予算政府案)」

国・地方・社会保障基金を合わせた一般政府の債務残高は、経済の規模 (GDP) の約2.3倍で、主要先進7か国のなかで最も高い水準です。政府が持つ金融資産を差し引いた純債務で見ると130.1%になりますが、こちらも7か国のなかで最も高くなっています。[3]

国債の利息の支払い (利払費) は、当初予算で2024年度の9.7兆円から、2025年度は10.5兆円、2026年度は13.0兆円へと増えています。返済にあてる分を合わせた国債費は31.3兆円で、歳出全体の約4分の1を占めます。[2][3]

なぜ起きる?

主な伝わり方は、歳出の増え方が収入の増え方を上回ってきたことです。当初予算で1990年度と2026年度を比べると、税収などの収入は60.6兆円から92.7兆円へ32.1兆円増えました。一方、歳出は66.2兆円から122.3兆円へ56.1兆円増えています。[6]

歳出の増加のうち最も大きいのは、医療・年金・介護などの社会保障で、11.6兆円から39.1兆円になりました。次に大きいのが国債費で、14.3兆円から31.3兆円に増えています。高齢化で社会保障の支出が増え、借金が増えるとその返済と利息も増える、という流れです。[6]

これまでは金利が低かったため、借金が増えても利息の負担はあまり増えませんでした。金利が上がると、借り換えのたびに高い金利の国債に置き換わり、利払費が増えていきます。内閣府の2026年7月の試算は、2026年度の長期金利を2.77% (2026年7月前半の平均) と置いています。[5]

一方で、借金の重さをGDP比で見ると、物価の上昇などで名目GDPが増えたため、近年は下がっています。内閣府の試算では、国と地方の公債等残高のGDP比は2022年度の202.8%程度から、2025年度は188.4%程度になりました。ただし、投資や生産性の伸びがこれまで並みにとどまるケースでは、2030年度ごろから再び上がる姿が示されています。[5]

よくある誤解

よくある誤解

「「国の借金」の数字はひとつしかない」

実際は

何を含めるかで数字が変わります。国債・借入金・政府短期証券の合計は1,346兆6,833億円、普通国債だけなら1,110兆8,839億円です (どちらも2026年6月末)。国際比較では、地方や社会保障基金を含む一般政府のGDP比 (2025年の推計で229.6%) が使われます。どの数字かを確かめて読む必要があります。[1][3]

よくある誤解

「借金の重さは、年々ひたすら増え続けている」

実際は

金額は増え続けていますが、経済の規模に対する比率は近年下がっています。普通国債残高のGDP比は2022年度末の174%から2024年度末は168%になりました。物価の上昇などで名目GDPが増えたためで、金額は同じ期間に1,027兆円から1,080兆円に増えています。[3]

よくある誤解

「政府は資産を持っているから、借金は気にしなくてよい」

実際は

金融資産を差し引いた純債務で見ても、日本はGDP比130.1% (2025年の推計) で主要先進7か国のなかで最も高い水準です。一方で、この数字だけで財政が行きづまるかどうかは決まらないという見方もあります。どの程度の残高までなら安心かについては、専門家のあいだでも意見が分かれます。[3]

どんな選択肢がある?

どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。

歳出を見直す

期待できること
新しい借金を減らせます。効果の小さい事業をやめれば、必要な分野にお金を回しやすくなります。
負担・副作用
社会保障や公共サービスの縮小につながることがあり、影響を受ける人が出ます。景気を冷やす面もあります。

税や保険料などの収入を増やす

期待できること
安定した財源を確保でき、将来の世代への先送りを減らせます。
負担・副作用
家計や企業の負担が増え、消費や投資を弱めるおそれがあります。誰がどれだけ負担するかで意見が分かれます。

経済成長で税収を増やし、GDP比を下げる

期待できること
負担を増やさずに、借金の重さを軽くできる可能性があります。政府は「責任ある積極財政」を掲げ、国・地方の債務残高のGDP比を安定的に下げることを財政運営の目標の中核に位置づけています。[5]
負担・副作用
成長が見込みどおりに進むとは限りません。成長とともに金利が上がれば、利払費が増える面もあります。

必要な支出は国債でまかない、投資を優先する

期待できること
防災、子育て、研究開発など、将来に効果が残る分野に早く取り組めます。
負担・副作用
借金がさらに増えます。金利が上がったときの利払いの負担が大きくなり、災害など急な出費に備える余力が小さくなるおそれがあります。

これから見るべき指標

国債及び借入金現在高
財務省が3か月ごとに公表します。2026年9月末の残高は、2026年11月10日に公表される予定です。

出典: 財務省「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高 (令和8年6月末現在)」

基礎的財政収支 (プライマリーバランス)
借金の返済と利息を除いた支出を、税収などでまかなえているかを表します。内閣府の試算では、国と地方の合計は2025年度にGDP比でおおむね均衡 (−0.0%程度) したと見込まれています。

出典: 内閣府「中長期の経済財政に関する試算 (令和8年7月30日 経済財政諮問会議提出)」

利払費と長期金利
金利が上がると、数年かけて利払費が増えていきます。毎年度の予算で確認できます。

出典: 財務省「令和8年度予算フレーム」

債務残高のGDP比
借金の重さを経済の規模と比べた数字です。内閣府が年に2回ほど、将来の見通しを複数のケースで示します。

出典: 内閣府「中長期の経済財政に関する試算 (令和8年7月30日 経済財政諮問会議提出)」

ほかの問題とのつながり

この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。

  • 暮らしと経済

    医療・年金・介護の費用は歳出の約3割を占め、高齢化とともに増え続けています。

  • 暮らしと経済

    いまの支出を借金でまかなうと、返済と利息の負担は将来の世代に回ります。

  • 暮らしと経済

    経済が伸びないと税収が増えにくく、借金のGDP比も下がりにくくなります。

  • 政治・制度

    歳出を税でどこまでまかなうか、誰がどの税を負担するかは、財政赤字の大きさに直結します。

  • 暮らしと経済

    国債の金利や価格の動きは、国債を持つ金融機関の経営にも影響します。

出典・更新日

データ確認日:

  1. [1] 財務省「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高 (令和8年6月末現在)」 公表: 2026年8月 / 確認: 2026年10月11日
  2. [2] 財務省「令和8年度予算フレーム」 公表: 2025年12月 / 確認: 2026年10月11日
  3. [3] 財務省「我が国の財政事情 (令和8年度予算政府案)」 公表: 2025年12月 / 確認: 2026年10月11日
  4. [4] 財務省「令和8年度補正後予算フレーム」 公表: 2026年6月 / 確認: 2026年10月11日
  5. [5] 内閣府「中長期の経済財政に関する試算 (令和8年7月30日 経済財政諮問会議提出)」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日
  6. [6] 財務省「財政学習教材 日本の財政を考えよう (令和8年4月)」 公表: 2026年4月 / 確認: 2026年10月11日

誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。