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政治・制度

税制・課税ベースの変化とは? 税を負担する土台はどう変わるのか

税は、所得・消費・資産など「何に税をかけるか」という土台の上に成り立っています。この土台を課税ベースといいます。働く世代が減り、経済の形が変わると、土台も変わります。誰がどのように負担するかは、すべての世代に関わる問題です。

データ確認日:

原因から影響までの流れ

  1. 働く世代の減少・高齢化
  2. 経済のデジタル化・国際化、物価の変化
  3. 課税ベースの変化
  4. 負担の配分と財政の見直し

矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。

いま何が起きている?

2025年度の国の一般会計税収は84兆2,226億円でした (決算額)。内訳は、消費税26兆278億円、所得税25兆2,565億円、法人税21兆7,450億円で、この3つで全体の9割近くを占めます。[1]

税の中身は、この35年で大きく入れ替わりました。1990年度は税収60兆1,059億円のうち、所得税が25兆9,955億円、法人税が18兆3,836億円で、消費税は4兆6,227億円でした。いまは消費税がいちばん大きな税目になっています。[1]

土台そのものを見直す動きも続いています。2026年度の税制改正では、所得税の基礎控除 (所得から一律に差し引ける額) などを、2年ごとに物価の上昇に合わせて引き上げる仕組みが作られました。ガソリンにかかる揮発油税などに上乗せされていた税率 (当分の間税率) は廃止され、財務省は減収を平年度で1.0兆円程度と見込んでいます。[6]

数字で見る

国の一般会計税収の推移 (各年度の決算額)
  • 1990年度 60.1兆円
  • 2000年度 50.7兆円
  • 2009年度 38.7兆円
  • 2019年度 58.4兆円
  • 2023年度 72.1兆円
  • 2025年度 84.2兆円

出典: 財務省「税収に関する資料「昭和54年度(1979年度)以降の税収の推移」」

主な税目の税収 (各年度の決算額、兆円)
年度所得税法人税消費税
1990年度26.018.44.6
2000年度18.811.79.8
2010年度13.09.010.0
2020年度19.211.221.0
2025年度25.321.726.0

出典: 財務省「税収に関する資料「昭和54年度(1979年度)以降の税収の推移」」

税を多く負担する働く世代は減っています。15〜64歳の人口は、2026年4月1日時点で7,333万6千人でした (確定値)。前の年の同じ月より22万2千人少なく、総人口に占める割合は59.7%です。[3]

将来推計 (2023年公表、出生中位・死亡中位) では、15〜64歳の人口は2020年の7,509万人から、2070年には4,535万人になるとされています。[4]

税と社会保険料を合わせた負担が国民所得に占める割合を国民負担率といいます。2024年度は46.7% (実績)、2025年度は46.1% (実績見込み)、2026年度は45.7% (見通し) です。[5]

なぜ起きる?

主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は、人口の構成です。所得税は主に働いて得た所得にかかるため、働く世代が減ると、同じ仕組みのままでは土台が小さくなりやすくなります。消費税は年齢にかかわらず消費にかかるので、世代による偏りは比較的小さいとされます。

2つ目は、経済の形の変化です。国境を越えて活動する企業が増えると、利益がどの国で生じたかをとらえにくくなります。各国が法人税を引き下げ合う競争に歯止めをかけるため、多国籍企業に国ごとに15%以上の税負担を求める「グローバル・ミニマム課税」が2021年に国際的に合意され、日本も法律にしました。[6]

3つ目は、物価や社会の変化に制度が追いつくかどうかです。控除の額が長く同じままだと、物価や賃金が上がったときに、実質的な負担が重くなります。基礎控除を物価に連動させる仕組みは、こうしたずれへの対応の1つです。[6]

社会保障との関係もあります。2026年度予算ベースで、国と地方の消費税収は30.6兆円ですが、消費税収と対応づけて示される社会保障の経費 (社会保障4経費) は48.9兆円で、18.3兆円の差があります。財務省はこの差を将来世代への負担の先送りと説明しています。[7]

どの土台にどれだけ頼るかについては、公平さ、経済への影響、集めやすさなど、重視する点によって見方が分かれます。政府の税制調査会は2023年6月に、経済社会の構造変化と税制のあり方についての答申をまとめています。[8]

よくある誤解

よくある誤解

「税収が過去最高なら、財政には余裕がある」

実際は

2025年度の一般会計税収は84兆2,226億円でしたが、同じ年度の歳出の決算総額は129兆4,661億円でした。税収は歳出のおよそ3分の2で、残りは国債などでまかなわれています。[1][2]

よくある誤解

「働く世代が減れば、税収はそのまま減っていく」

実際は

税収は人口だけでなく、賃金、企業の利益、物価、税率などで決まります。15〜64歳の人口は減り続けていますが、一般会計税収は2020年度の60兆8,216億円から2025年度の84兆2,226億円に増えました。ただし、この間の増加が今後も続くとは限りません。[1][3]

よくある誤解

「消費税だけで社会保障はまかなえている」

実際は

2026年度予算ベースで、国・地方の消費税収は30.6兆円、消費税収と対応づけて示される社会保障の経費 (社会保障4経費) は48.9兆円です。消費税収だけでは足りていません。[7]

どんな選択肢がある?

どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。

消費にかかる税の比重を高める

期待できること
世代を問わず広く負担するため、働く世代が減っても税収が安定しやすいとされます。
負担・副作用
所得の低い人ほど負担の割合が重くなりやすい面があります。消費を冷やすおそれも指摘されます。

所得や資産にかかる税で、負担する力に応じた課税を強める

期待できること
所得や資産の多い人により多く負担を求めることで、格差をならす働きが期待されます。
負担・副作用
働く意欲や投資への影響、資産や人の国外への移動を心配する見方があります。資産は正確に把握しにくい面もあります。

控除や特例を見直して、課税ベースを広げる

期待できること
税率を上げずに税収を確保しやすくなり、制度が分かりやすくなります。
負担・副作用
特例は子育てや投資の後押しなど目的をもって作られており、なくすと影響を受ける人や企業が出ます。

国際的なルールづくりで、企業の利益への課税を確保する

期待できること
各国が協調すれば、税率の引き下げ競争をおさえ、企業間の公平な競争につながります。
負担・副作用
合意と実施には各国の足並みが必要で、制度が複雑になり企業の事務負担が増えます。

歳出の見直しや経済成長で、税に頼る額そのものをおさえる

期待できること
負担を増やさずに済めば、家計や企業への影響を小さくできます。
負担・副作用
歳出の削減はサービスの縮小をともなうことがあります。成長による税収増は景気に左右され、確実ではありません。

これから見るべき指標

一般会計税収と税目別の内訳
所得税・法人税・消費税がそれぞれいくらかを見ます。年度の決算額は、翌年度の7月ごろに公表されます。

出典: 財務省「税収に関する資料「昭和54年度(1979年度)以降の税収の推移」」

15〜64歳人口
働いて税や保険料を負担する中心となる世代の人数です。人口推計で毎月公表されます。

出典: 総務省統計局「人口推計 2026年(令和8年)9月報」

国民負担率
税と社会保険料の合計が国民所得に占める割合です。2026年度の見通しは2026年3月に公表されました。

出典: 財務省「令和8年度の国民負担率を公表します」

消費税収と社会保障の経費の差
消費税収でまかなえていない社会保障の経費がどれだけあるかを見ます。

出典: 財務省「日本の財政関係資料 (令和8年4月) 「社会保障4経費と消費税収の関係」」

毎年度の税制改正
控除や税率、特例がどう変わるかを見ます。改正による増収・減収の見込み額も公表されます。

出典: 財務省「パンフレット「令和8年度税制改正」」

ほかの問題とのつながり

この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。

  • 暮らしと経済

    税収が歳出に届かない分は国債でまかなわれるため、課税ベースの変化は財政赤字の大きさに直接かかわります。

  • 暮らしと経済

    社会保障の経費は消費税収を上回っており、財源を税・保険料・国債のどれで支えるかが問われています。

  • 人口と家族

    働く世代が減ると、働いて得た所得にかかる税や保険料の土台が小さくなりやすくなります。

  • 暮らしと経済

    どの税を中心にするかで、現役世代・高齢世代・将来世代のあいだの負担の分かれ方が変わります。

出典・更新日

データ確認日:

  1. [1] 財務省「税収に関する資料「昭和54年度(1979年度)以降の税収の推移」」 確認: 2026年10月11日
  2. [2] 財務省「令和7年度決算概要」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日
  3. [3] 総務省統計局「人口推計 2026年(令和8年)9月報」 公表: 2026年9月 / 確認: 2026年10月11日
  4. [4] 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口 (令和5年推計) 結果の概要」 公表: 2023年4月 / 確認: 2026年10月11日
  5. [5] 財務省「令和8年度の国民負担率を公表します」 公表: 2026年3月 / 確認: 2026年10月11日
  6. [6] 財務省「パンフレット「令和8年度税制改正」」 公表: 2026年 / 確認: 2026年10月11日
  7. [7] 財務省「日本の財政関係資料 (令和8年4月) 「社会保障4経費と消費税収の関係」」 公表: 2026年4月 / 確認: 2026年10月11日
  8. [8] 内閣府 税制調査会「わが国税制の現状と課題 ―令和時代の構造変化と税制のあり方― (答申)」 公表: 2023年6月 / 確認: 2026年10月11日

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