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技術と未来

DX・AI導入の遅れとは? 使い始めた会社と、まだの会社

DX (デジタルトランスフォーメーション) とは、デジタル技術を使って仕事の進め方や事業そのものを変えることです。日本でも生成AIを使う会社は急に増えましたが、会社の大きさによる差や、成果につながっていないという課題が残っています。働く人が減っていく日本で、少ない人数で仕事を回せるかどうかに関わります。

データ確認日:

原因から影響までの流れ

  1. 人材と知識の不足
  2. 組織としての方針・体制の弱さ
  3. DX・AI活用の遅れと企業間の差
  4. 生産性の伸び悩み・人手不足の深刻化

矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。

いま何が起きている?

総務省の白書がまとめた2025年度のアンケート調査では、何らかの業務で生成AIを使っていると答えた日本企業は86.4%でした。前の年度の55.2%から大きく伸び、米国 (90.9%)、ドイツ (91.6%)、中国 (98.1%) との差は縮まりました。[1]

ただし、使い方には違いがあります。日本で最も多い使い道は「議事録・メール作成の補助」で、およそ7割でした。米国や中国では、研究や商品開発で効果を感じている企業の割合が高い傾向があります。[1]

会社の大きさによる差もあります。情報処理推進機構 (IPA) の調査では、DXに取り組んでいる企業は全体で75.7%でしたが、従業員1,001人以上では98.7%、100人以下では41.6%でした。[3]

数字で見る

生成AIを1つ以上の業務で使っている企業の割合 (2025年度のアンケート調査)
  • 日本 86.4%
  • 米国 90.9%
  • ドイツ 91.6%
  • 中国 98.1%

出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書 生成AIの業務利用状況」

生成AIの活用方針 (2025年度のアンケート調査)
国積極的に活用領域を限って活用方針を明確に定めていない
日本30.1%38.8%20.2%
米国34.6%48.2%7.8%
ドイツ40.5%41.7%9.7%
中国49.8%45.6%2.3%

出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書 生成AIの活用方針等」

日本では、生成AIを活用する方針を持つ企業が68.9%で、前の年度の49.7%から増えました。大企業は74.0%、中小企業は58.1%です。一方、生成AIについて「組織的な取組はない」と答えた企業は27.0%で、ほかの3か国よりはっきり高くなっています。[2][6]

成果の面では、DXに取り組む企業のうち「成果が出ている」と答えたのは60.8%で、この4年間ほとんど変わっていません。「わからない」も26.8%ありました。[3]

なぜ起きる?

主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は、人材の不足です。DXに取り組む企業の85.5%が、進める人材の数が「不足している」と答えました。AIの導入や運用の課題でも、「専門人材が不足している」が50.1%で最も多くなっています。[3]

2つ目は、何のために取り組むのかが見えにくいことです。従業員100人以下の企業がDXに取り組まない理由では、「自社が取り組むメリットがわからない」が54.0%で最も多くなりました。[3]

3つ目は、組織としての進め方です。日本では生成AIの方針を明確に定めていない企業が20.2%あり、米国の7.8%、ドイツの9.7%より高くなっています。IPAは、AIの使い道が作業の効率化や迅速化に集まり、新しい価値を生む使い方は限られているとまとめています。[2][3]

このほか、長く使ってきた古いシステムの入れ替えの難しさ、部署ごとに分かれたデータ、投資の効果の見えにくさなども指摘されています。どれが大きいかは、業種や会社の規模によって異なります。

よくある誤解

よくある誤解

「日本の会社は、AIをほとんど使っていない」

実際は

2025年度のアンケート調査では、何らかの業務で生成AIを使っている日本企業は86.4%で、前の年度の55.2%から大きく増えました。差が残るのは、使っているかどうかよりも、組織として取り組んでいるか、どの業務で成果を出しているかという点です。[1][6]

よくある誤解

「AIの導入率は、どの調査でも同じ数字になる」

実際は

調査によって数字は大きく違います。IPAの調査では、AIを「導入している」企業は42.3%、試験的に使っている企業を合わせて58.0%でした。従業員100人以上の企業を対象にした総務省の調査 (2025年8月末) では、データの収集や分析のためにIoTやAIなどのシステムを導入している企業は27.3%です。対象の企業と質問のしかたを確かめる必要があります。[3][4]

よくある誤解

「新しいツールを入れれば、DXは進む」

実際は

DXに取り組む企業のうち、成果が出ていると答えたのは60.8%で、「わからない」も26.8%ありました。IPAは、成果が出ている企業の特徴として、経営者がデジタルに明るいこと、経営者とIT部門・業務部門が協力していることなどを挙げています。[3]

どんな選択肢がある?

どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。

中小企業の導入を、補助金や相談の仕組みで後押しする

期待できること
費用や知識の壁が下がり、取り組む企業のすそ野が広がります。規模による差を縮めやすくなります。
負担・副作用
公費が必要です。目的がはっきりしないまま道具だけを入れても、成果につながらないことがあります。

働く人の学び直しと、専門人材の育成に力を入れる

期待できること
社内に使いこなせる人が増えれば、外部に任せきりにせず、自分たちの仕事に合った使い方を考えられます。
負担・副作用
育つまでに時間がかかります。学ぶ時間をどう確保するか、育った人が待遇のよい会社へ移ることにどう向き合うかという課題もあります。

AIの利用を広げることを優先する

期待できること
早く多くの現場で使うほど、経験がたまり、効果のある使い方が見つかりやすくなります。政府は2025年にAI法を施行し、技術革新の促進とリスクへの対応を両立させるとしています。[5]
負担・副作用
誤った情報、情報の漏えい、著作権、仕事への影響などへの不安があります。IPAの調査でも、効果やリスクへの理解不足を課題に挙げた企業が45.8%ありました。[3]

安全に使うためのルールづくりを先に進める

期待できること
何をしてよいかがはっきりすれば、利用をためらっていた企業や利用者も安心して使いやすくなります。
負担・副作用
ルールが細かすぎたり厳しすぎたりすると、新しい使い方を試しにくくなり、導入がさらに遅れるおそれがあります。

これから見るべき指標

生成AIを業務で使っている企業の割合 (国別)
総務省の情報通信白書で、日本・米国・ドイツ・中国の企業へのアンケート結果が示されます。令和8年版は2026年7月に公表されました。

出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書 生成AIの業務利用状況」

DXに取り組む企業の割合 (従業員規模別)
IPAが毎年まとめる「DX動向」で公表されます。規模による差が縮まるかどうかが注目点です。

出典: 独立行政法人情報処理推進機構 (IPA)「DX動向2026」

DXで「成果が出ている」と答えた企業の割合
取り組みが成果につながっているかを見る数字です。2025年度調査では60.8%でした。

出典: 独立行政法人情報処理推進機構 (IPA)「DX動向2026」

DXを進める人材の不足感
人材の数が「不足している」と答えた企業の割合です。2025年度調査では85.5%でした。

出典: 独立行政法人情報処理推進機構 (IPA)「DX動向2026」

クラウドサービスを使っている企業の割合
総務省の通信利用動向調査で毎年公表されます。2025年8月末時点では、一部でも使っている企業が83.5%、全社で使っている企業が60.0%でした。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」

ほかの問題とのつながり

この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。

  • 暮らしと経済

    デジタル技術で仕事のやり方を変えられないと、働く人1人あたりが生み出す価値が伸びにくくなります。

  • 暮らしと経済

    新しい技術を使いこなすには、働く人が学び直す機会が必要です。人材の不足はDXの最も大きな壁の一つです。

  • 技術と未来

    デジタル化を進めるほど、サイバー攻撃から守るべきものも増えます。

  • 政治・制度

    役所の手続きやデータの形式がばらばらだと、企業の側もデジタル化を進めにくくなります。

  • 技術と未来

    AIなどの新しい技術を生み出し、使いこなす力は、大学や研究機関で育つ人材に支えられています。

  • 暮らしと経済

    労働力不足

    記事あり

    働き手が減るなかで、機械やAIに任せられる仕事を増やせるかどうかが、人手不足の重さを左右します。

出典・更新日

データ確認日:

  1. [1] 総務省「令和8年版 情報通信白書 生成AIの業務利用状況」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日
  2. [2] 総務省「令和8年版 情報通信白書 生成AIの活用方針等」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日
  3. [3] 独立行政法人情報処理推進機構 (IPA)「DX動向2026」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日
  4. [4] 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」 公表: 2026年5月 / 確認: 2026年10月11日
  5. [5] 内閣府「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律 (AI法)」 公表: 2025年 / 確認: 2026年10月11日
  6. [6] 総務省「令和8年版 情報通信白書 組織的な取組状況」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日

誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。