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地域とインフラ

インフラ老朽化とは? 道路や橋は「造った後」もお金がかかる

高度経済成長期にまとめて造られた橋やトンネル、下水道などが、いっせいに古くなっています。毎日使う道路や水まわりの安全と、それを保つための費用にかかわる問題です。

データ確認日:

原因から影響までの流れ

  1. 高度経済成長期にまとめて整備
  2. いっせいに古くなる
  3. 点検・修繕の費用と人手が増える
  4. 通行止めや事故のおそれ

矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。

いま何が起きている?

インフラとは、道路、橋、トンネル、上下水道、港など、暮らしと経済を支える土台となる施設のことです。日本ではその多くが高度経済成長期に集中して造られたため、同じ時期にまとめて古くなっていきます。[1]

建設から50年以上たつ施設の割合は、道路橋で2023年3月の約37%から、2040年3月には約75%になる見込みです。トンネルは約25%から約52%、下水道の管は約7%から約34%に増えます。[1]

2025年1月28日には、埼玉県八潮市で、下水道の管の破損が原因と考えられる大きな道路の陥没が起き、トラックの運転手が亡くなりました。約120万人が下水道の使用を控えるよう求められました。[4]

数字で見る

建設後50年以上になる施設の割合 (2040年3月の見込み)
  • 道路橋 75%
  • 港湾施設 68%
  • 河川管理施設 65%
  • トンネル 52%
  • 水道管路 41%
  • 下水道管渠 34%

出典: 国土交通省「インフラメンテナンス情報「社会資本の老朽化の現状と将来」」

維持管理・更新費の推計 (国土交通省所管の12分野、年間、2018年度の推計)
時点予防保全を基本とした場合事後保全を基本とした場合
2018年度5.2兆円5.2兆円
10年後 (2028年度)5.8〜6.4兆円7.7〜8.4兆円
20年後 (2038年度)6.0〜6.6兆円8.6〜9.8兆円
30年後 (2048年度)5.9〜6.5兆円10.9〜12.3兆円

出典: 国土交通省「国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計」

予防保全は、こわれる前の傷みが小さいうちに直すやり方です。事後保全は、不具合が出てから直すやり方です。国土交通省の推計では、予防保全を基本にすると、30年後の費用は事後保全の場合より約5割少なくなります。それでも費用は2018年度の約1.3倍になる見込みです。[2]

全国の橋を5年に1回点検した結果、2025年度末時点で、修繕などが必要と判定された橋は51,046橋 (全体の7%) です。2018年度末の69,051橋からは減っています。[3]

なぜ起きる?

主な伝わり方は、「まとめて造ったものは、まとめて古くなる」ことです。造った時期が集中しているため、直す時期や造り替える時期も重なり、費用と人手が同じ時期に必要になります。[1]

もうひとつは、管理している自治体の事情です。2巡目の点検 (2019〜2023年度) で修繕が必要とされた橋のうち、対策に取りかかった割合は、国土交通省が91%なのに対し、地方公共団体は69%にとどまっています (2025年度末時点)。[3]

人口が減る地域では、税収や料金収入が減る一方で、道路や管の長さは変わりません。使う人1人あたりの維持費は重くなりやすく、点検や工事を担う技術者の確保も課題になります。

2012年12月の笹子トンネル天井板落下事故をきっかけに、2014年7月から橋やトンネルを5年に1回、近くで目で見て点検することが決まりになりました。状態がわかるようになった分、直すべき箇所も見えるようになっています。[3]

よくある誤解

よくある誤解

「建設から50年たった橋は、もう使えない」

実際は

50年は、古さを整理するための目安です。国土交通省も、老朽化の状況は建設した年だけで決まるのではなく、場所の環境や手入れの状況によって異なるとしています。[1]

よくある誤解

「古い橋は放っておかれ、危ない橋が増える一方だ」

実際は

建設後50年をこえた橋は増えていますが、修繕などが必要と判定された橋は、2018年度末の69,051橋から2025年度末の51,046橋へ減っています。ただし、地方公共団体では対策に取りかかれていない橋が約3割残っています。[3]

よくある誤解

「こわれてから直すほうが、お金がかからない」

実際は

国土交通省の推計では、不具合が出てから直す場合、30年後の年間の費用は10.9〜12.3兆円です。早めに直す場合の5.9〜6.5兆円より大きくなります。これは様々な仮定をおいた推計値です。[2]

どんな選択肢がある?

どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。

早めの修繕 (予防保全) に予算を回す

期待できること
長い目で見た費用を抑え、事故や通行止めを防ぎやすくなります。
負担・副作用
いまの支出が増えるため、ほかの分野の予算を減らすか、負担を増やす必要があります。

使う人の少ない施設をまとめる・やめる

期待できること
維持する施設の数が減り、残す施設に費用と人手を集中できます。
負担・副作用
遠回りが必要になるなど、その施設を使っていた人の暮らしに影響が出ます。

新しい技術や、自治体どうしの協力で効率を上げる

期待できること
ドローンなどによる点検や、複数の自治体での共同発注により、少ない人手でも点検や修繕を続けやすくなります。
負担・副作用
技術の導入や体制づくりに時間と費用がかかり、効果の大きさは地域によって異なります。

利用者が払う料金を見直す

期待できること
上下水道などでは、造り替えに必要なお金を安定して確保できます。
負担・副作用
家計や事業者の負担が増えます。人口の少ない地域ほど、1人あたりの負担が大きくなりやすいです。

これから見るべき指標

建設後50年以上の施設の割合
国土交通省が、道路橋・トンネル・下水道などの分野ごとに、現在と将来の見込みを示しています。

出典: 国土交通省「インフラメンテナンス情報「社会資本の老朽化の現状と将来」」

修繕が必要な橋の数と、対策に取りかかった割合
国土交通省の道路メンテナンス年報で公表されます。2025年度の結果は2026年8月に公表されました。

出典: 国土交通省「道路メンテナンス年報 (令和7年度)」

維持管理・更新費の推計
将来必要になる費用の見通しです。いまの推計は2018年度のもので、新しい推計が出るかどうかに注目します。

出典: 国土交通省「国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計」

下水道の管の調査結果
八潮市の事故を受けて、国土交通省の委員会が提言をまとめ、下水道の管の全国特別重点調査の結果が公表されています。

出典: 国土交通省「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」

ほかの問題とのつながり

この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。

  • 人口と家族

    人口が減る地域では、使う人が少なくなっても、道路や橋を保つ費用は減りにくいままです。

  • 暮らしと経済

    労働力不足

    記事あり

    点検や工事を担う技術者が足りないと、必要な修繕が進みません。

  • 地域とインフラ

    橋やトンネルが通れなくなると、バスなどの地域の足にも影響します。

  • 気候・自然・災害

    古くなった施設は、大きな地震のときにこわれるおそれが高まります。

  • 暮らしと経済

    維持や造り替えの費用は、国と自治体の予算で長くまかない続ける必要があります。

出典・更新日

データ確認日:

  1. [1] 国土交通省「インフラメンテナンス情報「社会資本の老朽化の現状と将来」」 公表: 記載なし / 確認: 2026年10月11日
  2. [2] 国土交通省「国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計」 公表: 2018年 / 確認: 2026年10月11日
  3. [3] 国土交通省「道路メンテナンス年報 (令和7年度)」 公表: 2026年8月 / 確認: 2026年10月11日
  4. [4] 国土交通省「「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」第2次提言 (案) (概要)」 公表: 2025年5月 / 確認: 2026年10月11日
  5. [5] 国土交通省「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」 公表: 2025年12月 / 確認: 2026年10月11日

誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。