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地域とインフラ

空き家・老朽住宅問題とは? 900万戸の内訳と増える理由

空き家とは、ふだん人が住んでいない住宅のことです。2023年の調査では全国に900万2千戸あり、住宅全体の13.8%を占めて過去最多になりました。親の家を相続したときなど、誰もが所有者になり得る問題で、放置されると倒壊や火災など近所の安全にも関わります。

データ確認日:

原因から影響までの流れ

  1. 人口減少・高齢化
  2. 相続した家に住む人がいない
  3. 空き家の増加・老朽化
  4. 防災・防犯・景観への影響

矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。

いま何が起きている?

総務省が5年ごとに行う住宅・土地統計調査によると、2023年10月1日時点の空き家は900万2千戸でした (確定値)。5年前より51万3千戸増えて過去最多です。住宅全体に占める割合 (空き家率) も13.8%で、過去最高になりました。[1]

ただし、空き家にはいくつかの種類があります。借り手を待っている賃貸用が443万6千戸、売却用が32万6千戸、別荘などの二次的住宅が38万4千戸です。残りの385万6千戸が、こうした使い道のない空き家で、5年前より36万9千戸増えました。[1]

問題になりやすいのは、この使い道のない空き家です。一戸建ての空き家352万3千戸のうち、80.9%にあたる285万1千戸がこれにあたります。[1]

数字で見る

空き家の数の推移 (各年10月1日現在)
  • 1993年 447.6万戸
  • 2003年 659.3万戸
  • 2013年 819.6万戸
  • 2018年 848.9万戸
  • 2023年 900.2万戸

出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 (確報集計) 結果」

空き家の数は調査のたびに増えており、1993年から2023年までの30年間で約2倍になりました。[1]

賃貸・売却用や別荘などを除いた空き家が住宅全体に占める割合 (2023年、確定値)
都道府県割合空き家全体の割合
鹿児島県13.6%20.5%
高知県12.9%20.3%
徳島県12.2%21.3%
愛媛県12.2%19.8%
全国5.9%13.8%
埼玉県3.8%9.3%
神奈川県3.2%9.8%
東京都2.6%10.9%

出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 (確報集計) 結果」

使い道のない空き家の割合は、西日本の県で高く、首都圏で低くなっています。東京都にも空き家は89万7千戸ありますが、使い道のない空き家は21万4千戸で、住宅全体の2.6%です。[1]

なぜ起きる?

主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は相続です。国土交通省の2024年の調査では、空き家を持つ世帯の約58%が相続で取得していました。親が亡くなったり施設に入ったりしたあと、子どもはすでに別の場所に家を持っていて、住む人がいなくなる例が多くあります。[2]

2つ目は、手放しにくさです。同じ調査で、今後も空き家のまま持ち続けるつもりの世帯に理由を聞くと、「物置として必要」が約56%、「解体費用をかけたくない」が約47%、「さら地にしても使い道がない」が約35%でした (複数回答)。[2]

税の仕組みも関係しています。住宅が建っている土地は、固定資産税を計算するもとになる額が、200平方メートルまでの部分で6分の1に軽くなります。家を取り壊すとこの軽減がなくなるため、古い家を残す理由の1つになっています。先の調査でも、約28%が「取り壊すと固定資産税が高くなる」を挙げました。[2][3]

3つ目は、人口と住宅の数の関係です。住宅の総数は2023年に6,504万7千戸で、世帯の数 (5,621万5千世帯) を上回っています。人口が減る地域では、古い家を買ったり借りたりする人が見つかりにくくなります。[1]

よくある誤解

よくある誤解

「900万戸の空き家は、すべて放置されたボロボロの家だ」

実際は

900万2千戸のうち443万6千戸 (49.3%) は、借り手を待っている賃貸用の住宅です。使い道がなく放置されやすい空き家は385万6千戸 (42.8%) です。ただし、その数は5年間で36万9千戸増えています。[1]

よくある誤解

「空き家は地方だけの問題だ」

実際は

空き家の数が最も多いのは東京都の89万7千戸で、次が大阪府の70万2千戸です。割合で見ると地方のほうが高くなりますが、数では大都市にも多くあります。[1]

よくある誤解

「いらない家は、持ち主が放っておいてもかまわない」

実際は

2023年12月に施行された改正法で、放置すれば危険な状態になるおそれのある空き家 (管理不全空家等) も、市区町村の指導や勧告の対象になりました。勧告を受けると、土地の固定資産税の軽減が受けられなくなります。また2024年4月からは、相続した不動産の登記が義務になり、取得を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になります。[3][4][5]

どんな選択肢がある?

どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。

中古住宅として売買・賃貸しやすくする

期待できること
まだ使える家を生かせます。新しく建てるより安く住まいを手に入れられる人が増える可能性があります。
負担・副作用
改修に費用がかかります。買い手や借り手の少ない地域では、条件を整えても成り立ちにくい面があります。

取り壊しの費用を支援する

期待できること
倒壊や火災の危険を早く取り除けます。「解体費用をかけたくない」という所有者の背中を押せます。[2]
負担・副作用
個人の財産の片づけに税金を使うことになります。自分の費用で取り壊した人との公平さも問われます。

所有者の責任を重くする (税の軽減の見直し、指導や勧告の強化)

期待できること
放置するほうが得になる状況を改め、売る・貸す・取り壊すといった判断をうながせます。[3]
負担・副作用
お金に余裕のない所有者や、遠くに住む相続人には重い負担になります。持ち主が分からない家には効きにくい面があります。

新しく建てる場所や量を見直し、住む区域をまとめていく

期待できること
将来の空き家を増やしにくくなり、道路や水道などを維持する費用も抑えやすくなります。
負担・副作用
建てられる場所が限られ、住宅の価格や土地の持ち主の財産に影響します。住み慣れた場所からの移転を求められる人が出る場合があります。

これから見るべき指標

空き家の数と空き家率
5年に1度の住宅・土地統計調査で分かります。直近は2023年10月1日時点で、確定値は2024年9月に公表されました。

出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 (確報集計) 結果」

賃貸・売却用や別荘などを除いた空き家の数
使い道がなく、放置されやすい空き家の数です。空き家全体とは分けて見る必要があります。

出典: 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 (確報集計) 結果」

空き家を取得した経緯と、持ち続ける理由
国土交通省がおおむね5年ごとに所有者に聞く調査です。直近は2024年11〜12月に行われ、2025年8月に公表されました。

出典: 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」

相続登記の義務化 (経過措置の期限)
2024年3月以前に相続した不動産も義務の対象で、2027年3月31日までに登記する必要があります。

出典: 法務省「相続登記の申請義務化について」

ほかの問題とのつながり

この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。

  • 人口と家族

    人口が減る地域では家の買い手や借り手が見つかりにくく、空き家が残りやすくなります。空き家が増えると、地域の魅力や安全も損なわれます。

  • 地域とインフラ

    地方で空き家が増える一方、都市部では住宅の価格が上がっています。家が余る場所と、求められる場所がずれています。

  • 気候・自然・災害

    国土交通省の2024年の調査では、空き家の約6割が1980年以前に建てられていました。手入れされていない古い家は、地震のときに倒れて道をふさいだり、火災を広げたりするおそれがあります。

  • 人口と家族

    一人暮らしの高齢者が亡くなったり施設に入ったりすると、その家は空き家になりやすくなります。

  • 人口と家族

    人口減少

    記事あり

    人口と世帯が減っていくと、必要な住宅の数も減り、住む人のいない家が増えていきます。

出典・更新日

データ確認日:

  1. [1] 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 (確報集計) 結果」 公表: 2024年9月 / 確認: 2026年10月11日
  2. [2] 国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」 公表: 2025年8月 / 確認: 2026年10月11日
  3. [3] 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律 (令和5年法律第50号) について」 確認: 2026年10月11日
  4. [4] 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」 確認: 2026年10月11日
  5. [5] 法務省「相続登記の申請義務化について」 確認: 2026年10月11日

誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。