暮らしと経済
若者の非正規雇用・雇用不安とは? 入口は良くなったのに残る不安
若い世代の就職率は高く、非正規で働く人の割合も下がってきました。それでも、正社員かどうかで賃金の伸び方が大きく違い、最初の数年で仕事を辞める人も少なくありません。働き始めの時期の安定は、その後の収入や結婚、住まいの選び方にも関わります。
データ確認日:
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25〜34歳の雇用者に占める非正規の割合
20.7%
2025年平均
-
15〜24歳の完全失業率
3.8%
2025年平均
-
大学卒の就職後3年以内の離職率
33.8%
2022年3月卒業者
原因から影響までの流れ
- 卒業時の景気と採用の慣行
- 非正規雇用・不安定なキャリア
- 収入と将来の見通しへの不安
- 結婚・出産・住まいの先送り
矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。
いま何が起きている?
パート、アルバイト、派遣社員、契約社員など、正社員以外の働き方をまとめて非正規雇用といいます。2025年平均では、25〜34歳の雇用者 (役員を除く) のうち非正規で働く人は20.7%、人数にして225万人でした。2015年の27.2%からは下がっています。[1]
仕事に就く入口も良くなっています。2026年3月に大学を卒業した人の就職率は、4月1日時点で98.0%でした。2025年平均の完全失業率は、15〜24歳が3.8%、25〜34歳が3.3%で、全体の2.5%よりは高いものの、低い水準です。[3][1]
一方で、正社員とそれ以外の賃金の差は年齢が上がるほど開きます。就職して3年以内に辞める人も、2022年3月の大学卒業者で33.8%、高校卒業者で37.9%いました。数字が良くなっても、不安がなくなったわけではありません。[4][5]
数字で見る
- 15〜24歳 52.3%
- 25〜34歳 20.7%
- 35〜44歳 25.7%
- 45〜54歳 29.6%
- 55〜64歳 42.6%
- 65歳以上 76.1%
15〜24歳の割合が高いのは、この年齢層に、学校に通いながらアルバイトをする人が含まれるためです。25〜34歳を男女別に見ると、男性は13.6%、女性は28.5%で、差があります。[1]
| 年齢 | 正社員・正職員 | 正社員・正職員以外 | 正社員を100とした水準 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 24万7,500円 | 20万3,500円 | 82.2 |
| 25〜29歳 | 28万5,000円 | 22万7,900円 | 80.0 |
| 30〜34歳 | 32万1,100円 | 23万3,800円 | 72.8 |
| 35〜39歳 | 35万2,600円 | 23万300円 | 65.3 |
| 50〜54歳 | 41万2,700円 | 22万9,700円 | 55.7 |
20代前半では、正社員以外の賃金は正社員の8割ほどです。しかし正社員の賃金は年齢とともに上がるのに対し、正社員以外は20代から50代まで20万〜23万円台で、ほとんど変わりません。その結果、50代前半では5割台まで差が開きます。[4]
なぜ起きる?
主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は、卒業した時期の景気です。日本では学校を卒業する時期にまとめて採用する慣行が強く、不況の年に卒業した人は正社員の入口が狭くなりがちです。「就職氷河期世代」と呼ばれる人たちについて、政府は2025年4月に関係閣僚会議を立ち上げ、支援策を議論しています。[6]
2つ目は、賃金の上がり方の違いです。正社員は勤める年数とともに賃金が上がりやすい一方、正社員以外は年齢が上がっても賃金がほぼ横ばいです。若いうちの差は小さくても、長く続くと生涯の収入や老後の備えに差が出やすくなります。[4]
3つ目は、働き方を選ぶ理由が人によって違うことです。2025年平均では、非正規で働く理由として最も多かったのは「自分の都合のよい時間に働きたいから」(36.6%) でした。「正規の職員・従業員の仕事がないから」と答えた人は173万人 (8.4%) で、男女とも、比較できる2014年以降12年続けて減っています。望んで選んだ人と、やむをえず選んだ人では、必要な支えが違います。[2]
待遇の差については、同じ会社の中で正社員と非正規で働く人のあいだに不合理な差をつけることを禁じるルール (いわゆる同一労働同一賃金) が、2020年4月に始まり、2021年4月から中小企業にも適用されています。[7]
よくある誤解
よくある誤解
「若者の非正規雇用は増え続けている」
実際は
25〜34歳の雇用者に占める非正規の割合は、2015年の27.2%から2025年には20.7%に下がりました。15〜24歳は47.8%から52.3%に上がっていますが、この年齢層には学校に通いながら働く人も含まれます。[1]
よくある誤解
「非正規で働く人は、みんな正社員になれなかった人だ」
実際は
2025年平均で、非正規で働く理由を「正規の職員・従業員の仕事がないから」と答えた人は8.4%でした。最も多い理由は「自分の都合のよい時間に働きたいから」の36.6%です。ただし男性では「正規の仕事がないから」が13.0%で、2番目に多い理由でした。[2]
どんな選択肢がある?
どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。
正社員への転換を後押しする
- 期待できること
- 正社員を望む人の収入と雇用が安定し、技能を身につける機会も増えると期待されます。
- 負担・副作用
- 企業にとっては人件費が増え、景気が悪いときに雇用を調整しにくくなります。短い時間で働きたい人には合わないこともあります。
雇用形態による待遇の差を小さくする
- 期待できること
- どの働き方を選んでも、仕事の内容に見合った賃金や手当を受けやすくなります。
- 負担・副作用
- 何が「不合理な差」にあたるかの判断が難しく、企業の負担も増えます。正社員の待遇を見直す動きにつながることもあります。
職業訓練や学び直しの機会を広げる
- 期待できること
- 技能を身につけることで、より条件のよい仕事に移りやすくなります。
- 負担・副作用
- 訓練を受けるあいだの生活費や時間が必要です。学んだことが実際の採用に結びつくとは限りません。
働き方にかかわらず使える安全網を整える
- 期待できること
- 年金や医療、失業時の支えを雇用形態にかかわらず受けやすくすれば、非正規で働くことの不安が小さくなります。
- 負担・副作用
- 保険料などの負担が働く人と企業の両方に生じます。手取りが減ることを避けたい人もいます。
これから見るべき指標
- 年齢別の非正規雇用の割合
- 雇用者 (役員を除く) のうち非正規で働く人の割合です。年平均は毎年1月ごろに公表されます。
- 「正規の仕事がないから」非正規で働く人の数
- やむをえず非正規で働いている人の目安です。2025年平均は173万人でした。
- 雇用形態による賃金の差
- 正社員を100としたときの正社員以外の賃金です。毎年6月分の賃金を調べ、翌年3月ごろに公表されます。
- 就職後3年以内の離職率
- 卒業して就職した人のうち、3年以内に辞めた人の割合です。毎年10月ごろに公表されます。
- 大学卒業者の就職率
- 就職を希望した人のうち実際に就職した人の割合です。4月1日時点の数字が5月ごろに公表されます。
ほかの問題とのつながり
この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。
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人口と家族
少子化
記事あり収入や将来の見通しが立ちにくいと、結婚や出産を先に延ばす人が増えやすくなります。
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暮らしと経済
貧困・所得・資産格差
記事あり若いころの賃金の差が長く続くと、貯蓄や老後の年金の差につながります。
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暮らしと経済
実質賃金停滞・生活コスト上昇
記事あり賃金が上がりにくい働き方の人ほど、物価が上がったときに暮らしが苦しくなりやすくなります。
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暮らしと経済
技能不足・リスキリング不足
記事あり職場で技能を身につける機会が少ないと、より条件のよい仕事に移りにくくなります。
出典・更新日
データ確認日:
- [1] 総務省統計局「労働力調査(基本集計) 2025年(令和7年)平均結果の概要」 公表: 2026年1月 / 確認: 2026年10月11日
- [2] 総務省統計局「労働力調査(詳細集計) 2025年(令和7年)平均結果の概要」 公表: 2026年 / 確認: 2026年10月11日
- [3] 厚生労働省・文部科学省「令和8年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します」 公表: 2026年5月 / 確認: 2026年10月11日
- [4] 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」 公表: 2026年3月 / 確認: 2026年10月11日
- [5] 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」 公表: 2025年10月 / 確認: 2026年10月11日
- [6] 内閣官房「就職氷河期世代等支援」 確認: 2026年10月11日
- [7] 厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」 確認: 2026年10月11日
誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。