暮らしと経済
女性の労働参加・昇進障壁とは? 働く人は増えたのに残る差
働く女性は増え、15〜64歳の女性の4人に3人が仕事をしています。しかし、賃金、雇用形態、管理職の割合には、いまも男女の差が残っています。働く世代が減る日本で、一人ひとりが力を発揮できるかどうかは、社会全体に関わる問題です。
データ確認日:
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15〜64歳の女性の就業率
75.3%
2025年平均
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女性の賃金 (男性を100としたとき)
76.6
2025年6月分
-
課長相当職に占める女性の割合
13.2%
2025年10月1日現在
原因から影響までの流れ
- 家事・育児の負担のかたより
- 長い時間働くことを前提にした職場
- 女性の非正規雇用の多さ・昇進の遅れ
- 賃金の差・力を活かしきれない社会
矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。
いま何が起きている?
2025年平均で、15〜64歳の女性のうち仕事をしている人の割合 (就業率) は75.3%でした。2015年の64.6%から、10年で10ポイント以上上がっています。女性の就業者は3,126万人で、前の年より44万人増えました。[1]
ただし、働き方の中身には差があります。雇用されて働く女性 (役員を除く) のうち、パートや派遣などの非正規で働く人は52.0%でした。男性は22.3%です。[1]
賃金にも差があります。2025年6月分の賃金 (フルタイムで働く人の所定内給与) は、男性が月37万3,400円、女性が月28万5,900円でした。男性を100とすると女性は76.6で、比べられる1976年以降で最も差が小さくなりましたが、なお開きがあります。[2]
数字で見る
| 年齢 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 25〜34歳 | 71.5% | 86.4% |
| 35〜44歳 | 55.1% | 91.1% |
| 45〜54歳 | 47.6% | 91.8% |
| 55〜64歳 | 36.4% | 76.6% |
女性は、25〜34歳では7割が正規雇用ですが、年齢が上がるにつれて割合が下がります。男性は30代から50代前半まで9割前後で、ほとんど変わりません。[1]
- 係長相当職 20.9%
- 課長相当職 13.2%
- 部長相当職 9.2%
役職が上がるほど、女性の割合は小さくなります。前の年度と比べると、部長相当職は8.7%から9.2%に、課長相当職は12.3%から13.2%に上がりました。係長相当職は21.1%から20.9%に、わずかに下がっています。[3]
賃金を年齢別に見ると、20〜24歳では男性24万5,700円、女性23万9,600円で、差は小さいです。男性は55〜59歳の44万5,600円まで上がり続けますが、女性は最も高い年齢層でも30万5,700円です。[2]
なぜ起きる?
主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は、家事や育児の負担のかたよりです。2021年の調査では、6歳未満の子どもがいる夫婦の1日あたりの家事関連時間は、夫が1時間54分、妻が7時間28分でした。夫の時間は2016年の1時間23分から増えましたが、差はまだ大きいままです。[4]
2つ目は、働き方の選び方への影響です。2025年平均で、非正規で働く理由を「家事・育児・介護等と両立しやすいから」と答えた人は、女性が218万人、男性が8万人でした。家庭の役割を多く担う人ほど、時間の融通がきく働き方を選びやすくなります。[5]
3つ目は、昇進までの道のりです。フルタイムで働く人の平均の勤続年数は、男性14.2年、女性10.4年です。長く勤めた人が昇進しやすい職場では、出産や育児でいったん仕事を離れたり働き方を変えたりすると、管理職になる機会が少なくなりがちです。[2]
変化も起きています。育児休業を取った男性の割合は、2025年度の調査で50.9%で、前の年度の40.5%から上がりました (女性は88.3%)。女性の正社員のうち、基幹的な仕事を担う「総合職」の割合も41.0%となり、初めて「一般職」(40.1%) を上回りました。[3]
賃金の差がどこから生まれるかについては、役職、勤続年数、雇用形態、職種の違いなど、いくつもの要因が重なっているとされています。どの要因がどれだけ効いているかは、見方が分かれます。
よくある誤解
よくある誤解
「働く女性が増えたので、男女の差はもうなくなった」
実際は
15〜64歳の女性の就業率は2025年平均で75.3%まで上がりましたが、雇用されて働く女性の52.0%は非正規です (男性は22.3%)。フルタイムで働く人の賃金も、男性を100とすると女性は76.6でした。[1][2]
よくある誤解
「賃金の差は、同じ仕事なのに女性の給料が低く決められているからだ」
実際は
76.6という数字は、フルタイムで働く男女それぞれの平均を比べたもので、役職や勤続年数、年齢の違いを含んでいます。ただし、同じ課長級どうしで比べても、男性54万1,400円、女性47万300円と差があります。原因は1つではありません。[2]
よくある誤解
「男性で育児休業を取る人はほとんどいない」
実際は
2025年度の調査では、配偶者が出産した男性のうち育児休業を始めた人は50.9%でした。ただし、この数字は取った人の割合で、休んだ日数の長さは示していません。[3]
どんな選択肢がある?
どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。
長時間労働を見直し、柔軟な働き方を広げる
- 期待できること
- 短い時間や在宅でも責任のある仕事を続けやすくなり、男女ともに仕事と家庭を両立しやすくなります。
- 負担・副作用
- 仕事の分け方や評価の方法を変える必要があり、職場によっては人手や費用の負担が増えます。
男性の家事・育児への参加を後押しする
- 期待できること
- 家庭の負担のかたよりが小さくなれば、女性が働き方を制限しなくてすむ場面が増えます。
- 負担・副作用
- 休む人の仕事を誰が担うかという問題が生じます。収入が減ることへの不安から、長く休みにくい人もいます。
企業に男女の差の公表を求める
- 期待できること
- 差が見えるようになり、企業が原因を調べて改善するきっかけになります。男女の賃金の差の公表は、従業員301人以上の企業で2022年7月から義務になり、2026年4月からは101人以上300人以下の企業にも広がりました。[6]
- 負担・副作用
- 数字を出すだけでは差は縮まりません。集計の手間がかかり、業種や職種の違いを考えずに数字だけが比べられるおそれもあります。
管理職や役員の女性の割合に目標を設ける
- 期待できること
- 意思決定の場に女性が増え、後に続く人の手本になると期待されます。
- 負担・副作用
- 数字合わせになるおそれや、性別ではなく能力で選ぶべきだという意見があります。候補となる人を育てるには時間がかかります。
保育や介護のサービスを充実させる
- 期待できること
- 家族の世話を理由に仕事を辞めたり減らしたりする人を減らせます。
- 負担・副作用
- 公的な費用が必要で、保育や介護の担い手を確保することも課題になります。
これから見るべき指標
- 女性の就業率と非正規雇用の割合
- 働く人がどれだけいるかと、どんな形で働いているかの両方を見ます。年平均は毎年1月ごろに公表されます。
- 男女間の賃金の差
- フルタイムで働く男性の賃金を100としたときの女性の賃金です。毎年6月分を調べ、翌年3月ごろに公表されます。
- 管理職に占める女性の割合
- 部長、課長、係長それぞれに女性がどれだけいるかを示します。毎年10月1日時点の状況が、翌年7月ごろに公表されます。
- 男性の育児休業の取得率
- 配偶者が出産した男性のうち、育児休業を始めた人の割合です。管理職の割合と同じ調査で公表されます。
- 夫婦の家事関連時間
- 家事、育児、介護、買い物にかける1日あたりの時間です。調査は5年ごとで、直近は2021年です。
ほかの問題とのつながり
この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。
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暮らしと経済
労働力不足
記事あり働きたい人が希望どおりの時間や仕事で働けるようになれば、人手不足をやわらげる力になります。
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人口と家族
少子化
記事あり仕事と子育てを両立しにくいと、働き続けることと子どもを持つことのどちらかをあきらめる人が出やすくなります。
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人口と家族
生産年齢人口の減少
記事あり働く世代が減るなかで、女性の就業が増えたことが、就業者数を支えてきました。
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暮らしと経済
貧困・所得・資産格差
記事あり賃金や雇用形態の差は、ひとり親世帯の暮らしや、老後の年金の差につながります。
出典・更新日
データ確認日:
- [1] 総務省統計局「労働力調査(基本集計) 2025年(令和7年)平均結果の概要」 公表: 2026年1月 / 確認: 2026年10月11日
- [2] 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」 公表: 2026年3月 / 確認: 2026年10月11日
- [3] 厚生労働省「「令和7年度雇用均等基本調査」結果を公表します」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日
- [4] 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の要約」 公表: 2022年8月 / 確認: 2026年10月11日
- [5] 総務省統計局「労働力調査(詳細集計) 2025年(令和7年)平均結果の概要」 公表: 2026年 / 確認: 2026年10月11日
- [6] 厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」 確認: 2026年10月11日
誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。