気候・自然・災害
豪雨・洪水・土砂災害とは? 強い雨が増える日本で何が起きているのか
短い時間に強い雨が降る回数が、この50年ほどで増えています。川があふれる洪水や、がけ崩れなどの土砂災害は、都市でも山あいでも起こります。自分の住む場所や通学路がどんな危険をかかえているかは、だれにとっても知っておきたいことです。
データ確認日:
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1時間に50mm以上の雨の年間発生回数 (1,300地点あたり)
約340回
2016〜2025年の平均 (観測値)
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全国の水害被害額
約7,700億円
2024年 (暫定値)
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土砂災害警戒区域
72万1,014区域
2026年6月30日時点 (指定済みの数)
原因から影響までの流れ
- 気温の上昇 (地球温暖化)
- 短時間の強い雨の増加
- 洪水・土砂災害
- 住宅・道路・水道などの被害
矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。
いま何が起きている?
気象庁の観測によると、全国で1時間に50mm以上の雨が降った回数は増えています。2016〜2025年の平均は年に約340回で、1976〜1985年の平均 (約226回) の約1.5倍です。これは全国のアメダス (自動の気象観測所) の値を、1,300地点あたりに直した回数です。[1]
被害も続いています。洪水や土石流などによる2024年の水害被害額は、全国で約7,700億円でした (暫定値)。2015〜2024年の10年間では3番目に大きい額です。石川県と山形県では、1961年に統計を取り始めてから最大になりました。[2]
がけ崩れ、土石流、地すべりをまとめて土砂災害といいます。2025年は37都道県で578件が起き、2人が亡くなり、241戸の住宅が被害を受けました。梅雨の時期の雨が少なかったため、1982〜2024年の平均 (1,116件) より少ない年でした。[3]
数字で見る
| 1時間の雨量 | 1976〜1985年 | 2016〜2025年 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 50mm以上 | 約226回 | 約340回 | 約1.5倍 |
| 80mm以上 | 約14回 | 約25回 | 約1.8倍 |
| 100mm以上 | 約2.2回 | 約4.4回 | 約2.0倍 |
雨が強いほど、増え方が大きくなっています。気象庁は、1時間に80mm以上などの特に強い雨は、1980年ごろと比べておおむね2倍程度に増えたとしています。[1]
- 全国 7,700億円
- 石川県 4,660億円
- 山形県 820億円
- 大分県 230億円
2024年の被害額のうち約4,590億円は、9月20日〜23日の大雨によるものでした。被害が特定の地域と時期に集中することが、水害の特徴です。なお、2024年の確報値は、集計に時間がかかっているとして公表が遅れています (2026年10月11日時点)。[2][7]
土砂災害のおそれがある場所として都道府県が指定した土砂災害警戒区域は、2026年6月30日時点で全国に72万1,014区域あります。このうち62万1,287区域は、建物がこわれて命に危険がおよぶおそれがある特別警戒区域です。[4]
なぜ起きる?
主な伝わり方は3つあると考えられます。1つ目は、雨の降り方の変化です。気象庁は、強い雨の増加には地球温暖化が影響している可能性があるとしています。[1] 一般に、気温が上がると、空気がふくむことのできる水蒸気が増えると説明されます。
2つ目は、日本の地形です。山が多く川が短く急なため、降った雨が一気に流れ下ります。平地が少ないので、川沿いの低い土地や山のふもとに多くの人が住んでいます。
3つ目は、これまでの備えの前提が変わることです。国土交通省の検討会は、世界の平均気温が産業革命前より2℃上がった場合、全国の主な川 (一級水系) の平均で、雨の量が約1.1倍、川を流れる水の量が約1.2倍、洪水の起こる頻度が約2倍になると試算しています。[5]
過去の雨をもとに作った堤防や下水道では、足りなくなる場面が増えると考えられます。ただし、どの地域でどれだけ増えるかには幅があります。
よくある誤解
どんな選択肢がある?
どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。
堤防・ダム・砂防施設などを強くする
- 期待できること
- 想定の範囲の雨であれば、被害を直接防ぐことができます。
- 負担・副作用
- 大きな費用と長い時間がかかります。想定を超える雨には対応しきれず、自然環境や景観への影響もあります。
流域全体で水をためる・ゆっくり流す
- 期待できること
- 田んぼ、ため池、遊水地 (水をあふれさせる場所) などを使い、川に集まる水を減らせます。2021年に関連する法律が施行されました。[6]
- 負担・副作用
- 土地の持ち主や上流・下流の住民など、多くの関係者の協力が必要です。効果を数字で示しにくい面もあります。
危険な場所に住む人を減らす
- 期待できること
- 建築の制限や移転の支援によって、被害を受ける人や建物そのものを減らせます。
- 負担・副作用
- 住み慣れた土地を離れる負担が大きく、土地の価値にも影響します。合意に時間がかかります。
早く逃げるための情報と訓練を充実させる
- 期待できること
- ハザードマップや気象情報を使って早めに避難できれば、命を守ることにつながります。費用も比較的少なくて済みます。
- 負担・副作用
- 住宅や道路などの被害は防げません。情報が出ても避難につながらないことがあり、高齢者などへの支援も必要です。
これから見るべき指標
- 1時間に50mm以上の雨の年間発生回数
- 気象庁が1976年からの推移を公開しています。1年ごとのばらつきが大きいため、10年平均などで見ます。
- 水害被害額
- 国土交通省が毎年まとめています。まず暫定値、その後に確報値が公表されます。
- 土砂災害の発生件数
- 国土交通省が1年分をまとめて公表します。2025年分は2026年3月に公表されました。
- 土砂災害警戒区域の数
- 都道府県が調査して指定します。自分の住む場所が入っているかは、市町村のハザードマップで確かめられます。
ほかの問題とのつながり
この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。
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気候・自然・災害
気候変動・猛暑影響
記事あり気温の上昇は、猛暑だけでなく、強い雨の増加にも影響している可能性があります。
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気候・自然・災害
大規模地震・津波リスク
記事あり地震でゆるんだ地盤や壊れた堤防は、その後の大雨で被害を大きくすることがあります。
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地域とインフラ
インフラ老朽化
記事あり堤防、ダム、下水道などが古くなると、想定どおりに水を防げなくなるおそれがあります。
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人口と家族
地方衰退・過疎化
記事あり人口が減った山あいの集落では、避難を助ける人や、復旧を担う人手が足りなくなりがちです。
出典・更新日
データ確認日:
- [1] 気象庁「大雨や猛暑日など (極端現象) のこれまでの変化」 確認: 2026年10月11日
- [2] 国土交通省「石川県・山形県で統計開始以来最大の水害被害 〜令和6年の水害被害額 (暫定値) を公表〜」 公表: 2025年12月 / 確認: 2026年10月11日
- [3] 国土交通省「令和7年の土砂災害発生件数を公表」 公表: 2026年3月 / 確認: 2026年10月11日
- [4] 国土交通省「土砂災害警戒区域等の指定状況等 (全国における指定状況 2026年6月30日時点)」 確認: 2026年10月11日
- [5] 国土交通省 気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会「「気候変動を踏まえた治水計画のあり方」提言 (令和3年4月改訂) 概要」 公表: 2021年4月 / 確認: 2026年10月11日
- [6] 国土交通省「流域治水関連法 (特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律)」 公表: 2021年 / 確認: 2026年10月11日
- [7] 国土交通省「水害統計調査」 確認: 2026年10月11日
誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。