気候・自然・災害
生物多様性の劣化とは? 身近な生きものが減ると何が困るのか
生物多様性とは、さまざまな生きものがいて、たがいにつながり合っていることです。日本では、めずらしい生きものだけでなく、スズメのような身近な生きものにも減少の傾向が見られます。食べ物、きれいな水、災害を防ぐはたらきなど、自然のめぐみは私たちの暮らしの土台です。
データ確認日:
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環境省レッドリストの絶滅危惧種 (総計)
3,587種
2026年3月時点 (最新版の評価の合計)
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記録数が急速に減っていた身近なチョウ類の種の割合
33%
2005〜2022年度の調査 (103種中34種)
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自然共生サイトの認定数
610か所
2026年6月30日時点 (累計)
原因から影響までの流れ
- 開発・里山の管理不足・外来種・気候変動
- 生きものがすむ場所の減少と質の低下
- 生物多様性の劣化
- 自然のめぐみの低下
矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。
いま何が起きている?
絶滅のおそれがある野生の生きものをまとめたリストをレッドリストといいます。環境省の最新版で絶滅危惧種とされた生きものは、2026年3月時点で合わせて3,587種です。[1]
2026年3月に公表された鳥類の評価では、掲載された170種のうち108種が絶滅危惧種でした。前回 (レッドリスト2020) より10種増えています。爬虫類・両生類は138種のうち96種で、12種増えました。[1]
今回、ハマシギやニホンイシガメが新たに絶滅危惧種になりました。どちらも、かつては全国の干潟や水田などに広くふつうに見られた生きものです。[1]
一方で、回復した例もあります。タンチョウは1952年に33羽まで減りましたが、保全活動によって2025年1月の調査では1,927羽が確認され、絶滅危惧種から外れました。[1]
数字で見る
| 分類群 | 掲載種数 | うち絶滅危惧種 | 公表 |
|---|---|---|---|
| 鳥類 | 170種 | 108種 | 2026年3月 |
| 爬虫類・両生類 | 138種 | 96種 | 2026年3月 |
| 植物・菌類 (5分類群) | 2,952種 | 2,063種 | 2025年3月 |
植物・菌類の絶滅危惧種は、前回の2,270種から207種減りました。ただし環境省は、評価の基準が変わったことや、新しい分布が見つかったことなども理由に挙げており、すべてが回復を意味するわけではありません。ほかの分類群は、これから順に公表されます。[2]
- 身近なチョウ類 (103種中34種) 33%
- 身近な鳥類 (106種中16種) 15%
出典: 環境省 自然環境局 生物多様性センター「モニタリングサイト1000 里地調査 2005-2022年度とりまとめ報告書」
環境省は、全国325か所の里地 (田畑や雑木林のある地域) で、市民とともに生きものの調査を続けています。2005〜2022年度のまとめでは、よく見られるチョウ類103種のうち34種、鳥類106種のうち16種で、記録数が1年に3.5%以上のペースで減っていました。スズメやオナガもふくまれます。[3]
また、スズメやヒバリなど農地にすむ鳥の記録数は、2015年以降、1年あたり7.4%のペースで減っていました。これは調査した場所での傾向で、種全体の数を表すものではない点に注意が必要です。[3]
なぜ起きる?
政府の「生物多様性国家戦略2023-2030」は、原因を4つの危機に整理しています。開発など人の活動によるもの、自然への働きかけが減ったことによるもの、外来種や汚染など人が持ちこんだものによるもの、気候変動など地球環境の変化によるものです。[4]
2つ目は、日本に特徴的な危機です。田んぼや雑木林、草地は、人が手を入れ続けることで保たれてきた環境です。農業や林業の担い手が減って手入れが止まると、そこにすんでいた生きものがすめなくなります。
外来種の影響も確認されています。環境省は、鳥類の絶滅危惧種が増えた理由として、開発による生息環境の悪化と、外来種に食べられることを挙げています。生態系などに被害をおよぼすとして国が指定する特定外来生物は、162種類あります (2026年10月11日に確認)。[1][7]
これらの危機は重なって起こります。どの要因がどれだけ効いているかは、生きものや地域によって違います。
よくある誤解
よくある誤解
「絶滅のおそれがあるのは、めずらしい生きものだけだ」
実際は
かつて全国の干潟や水田にふつうにいたハマシギやニホンイシガメが、2026年3月に新たに絶滅危惧種になりました。里地の調査では、スズメなど身近な鳥やチョウにも減少の傾向が出ています。[1][3]
よくある誤解
「人が手を入れなければ、自然は守られる」
実際は
人の手を入れずに守るべき自然もありますが、里地や里山は別です。国の戦略は、人による手入れが減ったことを危機のひとつに数えています。[4]
よくある誤解
「一度減った生きものは、もう元には戻らない」
実際は
タンチョウは1952年の33羽から、2025年1月には1,927羽が確認されるまで回復しました。奄美大島のアマミヤマシギも、外来種のマングースの根絶などで回復し、絶滅危惧種から外れました。ただし、長い年月と継続的な取組が必要でした。[1]
どんな選択肢がある?
どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。
国立公園などの保護地域を広げる
企業や団体が守っている土地を認定する
- 期待できること
- 社有林やビオトープなど、保護地域の外の自然も保全の対象にできます。「自然共生サイト」は2026年6月時点で610か所になりました。[5]
- 負担・副作用
- 参加は任意で、活動を続けるかどうかは企業や団体しだいです。保全の質をどう確かめるかも課題になります。
外来種の対策を強める
- 期待できること
- 在来の生きものへの被害を直接減らせます。奄美大島のように、根絶によって回復につながった例があります。[1]
- 負担・副作用
- 根絶には長い期間と費用がかかります。広がってしまった種を完全に取りのぞくのは難しく、優先順位をつける必要があります。
里地・里山の手入れを支える
- 期待できること
- 草刈りや水田の管理を続けることで、そこにすむ生きものを守れます。農地や景観を保つことにもつながります。
- 負担・副作用
- 担い手が減るなかで、だれが続けるのかが問題になります。すべての里山を保つことは難しく、場所を選ぶことになります。
これから見るべき指標
- レッドリストの絶滅危惧種の数
- 環境省がおおむね5年ごとに見直します。第5次レッドリストは分類群ごとに順に公表されています。
- 身近な生きものの記録数の変化
- 里地の調査 (モニタリングサイト1000) で、チョウや鳥、植物などの増減を長期に追っています。
出典: 環境省 自然環境局 生物多様性センター「モニタリングサイト1000 里地調査 2005-2022年度とりまとめ報告書」
- 保護地域などの割合 (30by30)
- 陸と海のうち、保全されている面積の割合です。2030年までに30%以上が目標です。
出典: 環境省「30by30」
- 自然共生サイトの認定数
- 民間などの取組で生物多様性が守られている区域の数です。年に数回、新たな認定が公表されます。
ほかの問題とのつながり
この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。
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気候・自然・災害
気候変動・猛暑影響
記事あり気温や海水温が変わると、生きものがすめる場所や、花が咲く時期と虫が現れる時期の関係が変わります。
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食料とエネルギー
農業就業者高齢化・農地維持
記事あり農業を続ける人が減ると、田んぼや草地、雑木林の手入れが止まり、里地にすむ生きものがすみにくくなります。
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世界と安全保障
海洋資源・領土・EEZ問題
記事あり魚や海藻、サンゴなどの海の生態系を守ることは、水産資源を長く使い続けることと結びついています。
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気候・自然・災害
廃棄物処理・資源循環
記事ありプラスチックごみなどによる汚染は、海や川の生きものに影響をあたえる要因のひとつです。
出典・更新日
データ確認日:
- [1] 環境省「第5次レッドリスト (鳥類及び爬虫類・両生類) の公表について」 公表: 2026年3月 / 確認: 2026年10月11日
- [2] 環境省「第5次レッドリスト (植物・菌類) の公表について」 公表: 2025年3月 / 確認: 2026年10月11日
- [3] 環境省 自然環境局 生物多様性センター「モニタリングサイト1000 里地調査 2005-2022年度とりまとめ報告書」 公表: 2024年10月 / 確認: 2026年10月11日
- [4] 環境省「「生物多様性国家戦略2023-2030」の閣議決定について」 公表: 2023年3月 / 確認: 2026年10月11日
- [5] 環境省「地域生物多様性増進法に基づく「自然共生サイト」認定 (令和8年度第1回) について」 公表: 2026年6月 / 確認: 2026年10月11日
- [6] 環境省「30by30」 確認: 2026年10月11日
- [7] 環境省「特定外来生物等一覧」 確認: 2026年10月11日
誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。