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世界と安全保障

海洋資源・領土・EEZ問題とは? 日本のまわりの海で何が起きているのか

日本は、国土の約12倍にあたる広い海を管理しています。その海では、島の領有や海の境界をめぐって周りの国・地域と意見が食い違い、警備の負担が重くなっています。魚や海底の資源、船の通り道に関わるため、食卓やエネルギーにもつながる課題です。

データ確認日:

原因から影響までの流れ

  1. 島の領有や海の境界をめぐる主張の違い
  2. 漁業・海底資源・航路への関心
  3. 周辺の海での緊張
  4. 警備・外交・防衛の負担

矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。

いま何が起きている?

海には、国際的なルール (国連海洋法条約) にもとづく区分があります。沿岸から12海里 (約22km) までが領海で、その国の主権がおよびます。200海里 (約370km) までは排他的経済水域 (EEZ) と呼ばれ、魚や海底の資源を探したり利用したりする権利が沿岸の国に認められています。[3]

日本の領海とEEZを合わせた面積は約447万km²で、国土 (約38万km²) の約12倍です。[1] ただし、向かい合う国との距離が近い東シナ海などでは、EEZや大陸棚が重なるため、相手国との合意で境界を決める必要があります。[4]

尖閣諸島 (沖縄県石垣市) の周辺では、領海のすぐ外側の接続水域で、中国海警局の船がほぼ毎日確認されています。2025年は357日で、過去最多でした。同じ年の3月には、領海に入った船がとどまった時間が過去最長の92時間8分になりました。[2]

数字で見る

日本の海の広さ (海上保安庁の公表値、2026年10月確認)
区分面積
国土約38万km²
領海 (内水を含む)約43万km²
排他的経済水域 (接続水域を含む)約405万km²
領海+排他的経済水域約447万km²
延長大陸棚約30万km²

出典: 海上保安庁 海洋情報部「日本の領海等概念図」

尖閣諸島周辺の接続水域で中国海警局の船などが確認された日数 (年間。2020〜2024年は海上保安庁の会議資料のグラフ、2025年は海上保安レポート2026)
  • 2020年 333日
  • 2021年 332日
  • 2022年 336日
  • 2023年 352日
  • 2024年 355日
  • 2025年 357日

出典: 海上保安庁「海上保安レポート2026 「3 領海・EEZを守る」 CHAPTER II. 尖閣諸島周辺海域の緊迫化」

接続水域で続けて確認された日数は、2024年11月19日から2025年10月19日までの335日が過去最長です。[2][10] 海上保安庁の定員は2025年度末で1万4,889人、2026年度の予算は2,971億円で、同庁は過去最大としています。[5]

海の恵みである魚介類の生産量は、2025年に357万7,400トン (第1報) で、前の年より1.6%減りました。このうち海でとる漁業が270万500トン、海での養殖が83万1,900トンです。[9]

なぜ起きる?

主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は、島の領有をめぐる主張の違いです。政府は、尖閣諸島について、日本固有の領土であり、現に有効に支配しているので、解決すべき領有権の問題はそもそも存在しないとしています。一方、中国と台湾は1971年から領有権について独自の主張をしています。[6]

竹島 (島根県) について、政府は日本固有の領土であり、韓国による占拠は国際法上の根拠がない不法占拠だとしています。韓国は竹島を自国の領土だと主張しており、日本が1954年、1962年、2012年に提案した国際司法裁判所での解決には応じていません。[7] 北方領土 (択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島) について、政府は日本固有の領土であり、ロシアによる不法占拠が続いているとしています。日本とロシアのあいだでは平和条約が結ばれておらず、2022年3月にロシア政府は交渉を続けないと発表しました。[8]

2つ目は、海の価値です。EEZや大陸棚では、沿岸の国に魚や海底資源を利用する権利があります。[3] 日本海の「大和堆」のようなよい漁場では、外国漁船による違法な操業が確認されています。[11] 境界がはっきりしない海では、資源の調査や利用をめぐって意見が対立しやすくなります。

3つ目は、現場での動きの積み重ねです。船を送り続けることは、自国の主張を示す手段にもなります。海上保安庁によると、中国海警局の船は大型化し、砲を積んだ船も確認されています。[10] 現場に出る船が増えるほど、思わぬ衝突が起きるおそれも高まります。

よくある誤解

よくある誤解

「EEZは日本の領海と同じで、外国の船は入れない」

実際は

主権がおよぶのは領海 (沿岸から12海里) までです。EEZで沿岸の国に認められているのは、魚や海底資源の利用、科学的な調査の管理などの権利で、外国の船も航行はできます。領海でも、平和や安全を害さない通航は認められています。[3]

よくある誤解

「尖閣諸島、竹島、北方領土は、同じ種類の問題だ」

実際は

状況はそれぞれ違います。尖閣諸島は日本が有効に支配しており、政府は領有権の問題は存在しないとしています。[6] 竹島は韓国が、北方領土はロシアが占拠しており、政府はどちらも不法占拠だとしています。[7][8] 相手の国・地域にもそれぞれの主張があり、対応のしかたも異なります。

よくある誤解

「広い海があるから、日本の水産物は豊富にとれ続ける」

実際は

海が広くても、とれる量が保たれるとは限りません。2025年の漁業・養殖業の生産量は357万7,400トン (第1報) で、前の年より1.6%減りました。ほたてがいやかつおなどが減っています。[9]

どんな選択肢がある?

どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。

海上保安庁などの警備の体制を強める

期待できること
領海に入る船への対応や、漁船の安全の確保を続けやすくなります。
負担・副作用
船や航空機の整備、人員の確保に費用がかかります。現場に出る船が双方で増えると、思わぬ衝突のおそれが高まるという見方もあります。

外交での話し合いや、連絡の仕組みづくりを進める

期待できること
現場での誤解や衝突を防ぎ、緊張が高まるのを抑えることが期待されます。
負担・副作用
領有についての立場の違いそのものは埋まりにくく、相手が応じなければ進みません。譲ったと受け取られることへの心配もあります。

国際的な裁判や国際法にもとづく解決をめざす

期待できること
力ではなくルールで決めるため、結果に納得を得やすくなります。
負担・副作用
当事国の同意がないと裁判は始まりません。判断が自国に不利になる可能性もあります。

漁業や資源について、境界を決めないまま共同の管理や取り決めを進める

期待できること
領有の問題を横に置いたまま、漁業者の安全や資源の保護を先に進められます。
負担・副作用
取り決めの内容によっては、自国の漁業者が不利になることがあります。領有の主張に影響しないかという心配も出ます。

これから見るべき指標

尖閣諸島周辺の接続水域での確認日数・領海侵入の状況
海上保安庁が日ごとの隻数を公表し、年間の状況は「海上保安レポート」にまとめられます。

出典: 海上保安庁「海上保安レポート2026 「3 領海・EEZを守る」 CHAPTER II. 尖閣諸島周辺海域の緊迫化」

海上保安庁の定員・予算
警備の負担の大きさを知る手がかりになります。2026年度の予算は2,971億円でした。

出典: 海上保安庁「海上保安レポート2026 海上保安庁の任務・体制」

漁業・養殖業の生産量
農林水産省が毎年5月ごろに前年分の第1報を公表します。

出典: 農林水産省「令和7年漁業・養殖業生産統計」

延長大陸棚の設定の状況
200海里をこえて大陸棚が認められた海域です。2024年7月に新たに1海域が設定されました。

出典: 海上保安庁「海上保安レポート2026 「3 領海・EEZを守る」 CHAPTER I. 海洋に関する国際的なルール」

ほかの問題とのつながり

この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。

  • 世界と安全保障

    地政学リスク

    記事あり

    日本のまわりの海での緊張は、周辺の国々との関係全体の変化と結びついています。

  • 世界と安全保障

    広い海を見張り続けるには、船や航空機だけでなく、乗り組む人の確保が欠かせません。

  • 気候・自然・災害

    魚をとりすぎたり海の環境が変わったりすると、資源そのものが減ります。国をまたいだ管理が必要です。

  • 食料とエネルギー

    原油やガスを運ぶ船が通る海の安全は、エネルギーの安定した確保に関わります。

出典・更新日

データ確認日:

  1. [1] 海上保安庁 海洋情報部「日本の領海等概念図」 確認: 2026年10月11日
  2. [2] 海上保安庁「海上保安レポート2026 「3 領海・EEZを守る」 CHAPTER II. 尖閣諸島周辺海域の緊迫化」 公表: 2026年 / 確認: 2026年10月11日
  3. [3] 海上保安庁「海上保安レポート2026 「3 領海・EEZを守る」 CHAPTER I. 海洋に関する国際的なルール」 公表: 2026年 / 確認: 2026年10月11日
  4. [4] 海上保安庁「海上保安レポート2026 「3 領海・EEZを守る」 CHAPTER IV. 海洋権益確保のための海洋調査」 公表: 2026年 / 確認: 2026年10月11日
  5. [5] 海上保安庁「海上保安レポート2026 海上保安庁の任務・体制」 公表: 2026年 / 確認: 2026年10月11日
  6. [6] 内閣官房 領土・主権対策企画調整室「尖閣諸島 (パンフレット)」 公表: 2026年3月 / 確認: 2026年10月11日
  7. [7] 内閣官房 領土・主権対策企画調整室「竹島 (パンフレット)」 公表: 2026年3月 / 確認: 2026年10月11日
  8. [8] 内閣官房 領土・主権対策企画調整室「北方領土 (パンフレット)」 公表: 2026年3月 / 確認: 2026年10月11日
  9. [9] 農林水産省「令和7年漁業・養殖業生産統計」 公表: 2026年5月 / 確認: 2026年10月11日
  10. [10] 海上保安庁「海上保安能力強化の取組状況 (令和7年12月23日)」 公表: 2025年12月 / 確認: 2026年10月11日
  11. [11] 海上保安庁「海上保安レポート2026 「3 領海・EEZを守る」 CHAPTER III. 予断を許さない日本海大和堆周辺海域」 公表: 2026年 / 確認: 2026年10月11日

誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。