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政治・制度

規制・ルールの複雑化とは? 制度は変化に追いつけるのか

法律や規則は、安全や公正を守るために作られます。しかし、作られたルールは積み重なり、技術や社会が変わっても古い前提のまま残ることがあります。ルールが現実に合わなくなると、新しいサービスが始めにくくなり、人手不足の現場の負担も重くなります。

データ確認日:

原因から影響までの流れ

  1. ルールが目的ごとに積み重なる
  2. 技術や社会の変化
  3. 規制・ルールの複雑化
  4. 新しいサービスの遅れ・現場の負担

矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。

いま何が起きている?

国は2017年まで、許可や認可など、行政の判断が必要な手続きの根拠となる条項の数を数えていました。2017年4月1日時点では1万5,475にのぼります。この調査は、この回の結果の公表をもって終了しました。[2]

ルールは毎年増えたり変わったりします。2026年2月18日から7月25日までの第221回国会では、78件の法律が成立しました。内訳は、内閣が提出したものが64件、議員が提出したものが14件です。[3]

古い前提のまま残ったルールの代表がアナログ規制です。人が現場で目で見て確かめること、担当者が常にその場にいること、書類を紙で掲示することなどを求める決まりを指します。政府が点検したところ、こうした規制に当たる条項などは、法令と告示・通知などを合わせて1万2,205件ありました。[1]

このうち見直しが必要とされたのは8,162件で、2026年5月末時点で8,133件 (約99%) の見直しが完了したと公表されています。[1]

数字で見る

アナログ規制に当たるとされた条項などの数 (主な種類別、2026年8月公表)
  • 目視 3,546件
  • フロッピーディスク等の指定 2,095件
  • 往訪閲覧・縦覧 1,748件
  • 定期検査・点検 1,495件
  • 常駐・専任 1,371件
  • 書面掲示 1,119件
  • 対面講習 627件
  • 実地監査 161件

出典: デジタル庁「アナログ規制に係る工程表及び通知・通達の見直し方針のフォローアップ結果」

アナログ規制の見直し状況 (法令と告示・通知などの合計)
区分件数
アナログ規制に当たる条項など1万2,205件
うち見直しが不要とされたもの4,043件
うち見直しが必要とされたもの8,162件
2026年5月末時点で見直し完了8,133件
2026年6月以降に完了予定29件

出典: デジタル庁「アナログ規制に係る工程表及び通知・通達の見直し方針のフォローアップ結果」

1万2,205件のうち、法律や政令・省令などの法令に書かれていたものは9,671件でした。残りの2,534件は、役所が出す告示や通知・通達に書かれていました。ルールは法律の本文だけでなく、何層にも分かれて存在しています。[1]

なぜ起きる?

主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は、ルールが足し算で増えやすいことです。事故や問題が起きるたびに、それを防ぐ決まりが作られます。一方、役目を終えた決まりを見つけて取り除く作業は、後回しになりがちです。

2つ目は、ルールが作られた時代の技術を前提にしていることです。「人が現場で見る」「紙で掲示する」といった決まりは、カメラやセンサー、インターネットが広く使われる前の方法を前提にしています。技術が変わっても条文はそのまま残ります。[1]

3つ目は、ルールが役所ごと、分野ごとに分かれていることです。1つの新しいサービスが複数の法律にまたがると、事業者はそれぞれの役所に確認する必要があります。どのルールが当てはまるのかがはっきりしないこと自体が、負担になります。

対応する仕組みも作られてきました。政府は規制改革推進会議の答申をもとに、担当する役所と実施時期を定めた「規制改革実施計画」を閣議決定しており、直近は2026年7月21日です。[5]

いまの規制のもとでは実施が難しい新しい技術やビジネスについて、事業者の申請にもとづき、認定を受けた実証を行い、得られたデータを規制の見直しにつなげる「規制のサンドボックス制度」もあります。[6] また、新しく国会に出される法案については、アナログ規制を新たに生まないかを事前に確認する手続きが行われています。[4]

よくある誤解

よくある誤解

「規制は少なければ少ないほどよい」

実際は

規制には、安全、健康、公正な取引などを守る役割があります。アナログ規制の点検でも、1万2,205件のうち4,043件は見直しが不要と判断されました。問われているのは数の多さだけでなく、目的に合った方法になっているかどうかです。[1]

よくある誤解

「一度まとめて見直せば、問題は終わる」

実際は

ルールは毎年新しく作られます。2026年の第221回国会だけでも78件の法律が成立しました。政府は、新しい法案がアナログ規制を生まないかを国会に出す前に確認する手続きを続けています。[3][4]

よくある誤解

「法律を変えれば、現場のルールもすぐ変わる」

実際は

ルールは法律のほか、政令・省令、告示、通知・通達などにも書かれています。アナログ規制に当たるとされた1万2,205件のうち、2,534件は告示や通知・通達にありました。条文が変わっても、新しい方法が現場で実際に使われるまでには時間がかかります。[1]

どんな選択肢がある?

どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。

古いルールを定期的に点検し、まとめて見直す

期待できること
役目を終えた決まりを減らし、新しい技術を使いやすくできます。
負担・副作用
点検には役所と事業者の両方に手間がかかります。安全の水準が下がらないかを1つずつ確かめる必要があります。

方法ではなく、達成すべき結果をルールに書く

期待できること
「人が見る」といった方法を指定しないため、技術が変わってもルールを直さずに済みます。
負担・副作用
何をすれば基準を満たすのかが分かりにくくなり、事業者と役所の判断がずれるおそれがあります。

期間や範囲を限って、新しい技術を試せるようにする

期待できること
実際のデータにもとづいて、規制を変えるかどうかを判断できます。
負担・副作用
試す間の安全や利用者の保護をどう確保するかが課題です。制度を使える事業者が限られることもあります。

新しいルールを作るときに、負担と効果を事前に確かめる

期待できること
不要な手続きや古い方法が新たに増えることを防げます。
負担・副作用
確認の手続きが増え、ルールを作るまでの時間が長くなります。急ぎの対応が必要なときには妨げになることがあります。

これから見るべき指標

アナログ規制の見直しの進み具合
見直しが必要な条項などのうち、完了した数です。2026年5月末時点の結果が2026年8月に公表されました。

出典: デジタル庁「アナログ規制に係る工程表及び通知・通達の見直し方針のフォローアップ結果」

国会で成立した法律の数
内閣が提出した法律案と議員立法のそれぞれについて、国会ごとの提出・成立件数が公表されています。

出典: 内閣法制局「過去の法律案の提出・成立件数一覧」

規制改革実施計画とその実施状況
どの規制を、どの役所が、いつまでに見直すかを定めた計画です。フォローアップの結果も公表されます。

出典: 内閣府「規制改革 実施計画・答申・意見書等「規制改革実施計画」」

新しい法案の事前確認の結果
国会に出される法案がアナログ規制に関係しないかを確認した結果が、国会ごとに公表されています。

出典: デジタル庁「アナログ規制見直しの取組」

ほかの問題とのつながり

この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。

  • 政治・制度

    紙や対面を前提にしたルールが残っていると、行政の手続きをデジタルで完結させることができません。

  • 技術と未来

    新しい技術にどのルールが当てはまるかがはっきりしないと、企業は導入をためらいやすくなります。

  • 政治・制度

    企業に求められるルールへの対応が増えると、その負担と効果のバランスが経営の課題になります。

  • 政治・制度

    ルールを定期的に点検して直すには、政権や担当者が代わっても続く仕組みが必要です。

出典・更新日

データ確認日:

  1. [1] デジタル庁「アナログ規制に係る工程表及び通知・通達の見直し方針のフォローアップ結果」 公表: 2026年8月 / 確認: 2026年10月11日
  2. [2] 総務省「許認可等の統一的把握の結果 (平成29年4月1日現在)」 確認: 2026年10月11日
  3. [3] 内閣法制局「過去の法律案の提出・成立件数一覧」 確認: 2026年10月11日
  4. [4] デジタル庁「アナログ規制見直しの取組」 確認: 2026年10月11日
  5. [5] 内閣府「規制改革 実施計画・答申・意見書等「規制改革実施計画」」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日
  6. [6] 内閣官房「規制のサンドボックス制度」 確認: 2026年10月11日

誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。