気候・自然・災害
PFASなどの化学物質による環境汚染とは?
PFAS (ピーファス) は、水や油をはじく便利な性質から広く使われてきた化学物質の仲間です。分解されにくいため、製造が禁止された後も川や地下水から見つかっています。飲み水の安全や、調べる費用・きれいにする費用を誰が負担するかにかかわる問題です。
データ確認日:
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PFOS・PFOAが指針値を超えた川や地下水の地点 (測定3,941地点のうち)
629地点
2024年度 (自治体の報告の集計)
-
水道水の水質基準 (PFOSとPFOAの合計)
50ng/L
2026年4月1日施行
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暫定目標値を超えたことがある水道事業 (うち18は対策済み)
19事業
2020年度〜2025年8月末の累計
原因から影響までの流れ
- 便利な性質で広く使われた
- 分解されにくく環境に残る
- 川・地下水・水道水源から検出
- 調査・対策の費用と健康への不安
矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。
いま何が起きている?
PFASは、主に炭素とフッ素からできた化学物質の総称で、1万種類以上あるとされています。このうちPFOS (ピーフォス) とPFOA (ピーフォア) は、泡消火薬剤、半導体の製造、フッ素樹脂の加工などに使われてきました。[4]
PFOSとPFOAは、分解されにくい、体にたまりやすい、遠くまで運ばれるという性質があります。そのため国際条約で規制され、日本でもPFOSは2010年、PFOAは2021年に、製造と輸入が原則として禁止されました。[4]
それでも、過去に環境に出たものが残っています。2024年度に全国の川や地下水など3,941地点で測定したところ、26都府県の629地点で、国の指針値 (PFOSとPFOAの合計で1リットルあたり50ナノグラム) を超えました。ナノグラムは10億分の1グラムです。[1]
水道水については、2026年4月1日から、PFOSとPFOAの合計で1リットルあたり50ナノグラム以下という水質基準が設けられました。水道事業者には、検査を行い、基準を守る義務があります。[2]
数字で見る
| 年度 | 測定した都道府県 | 測定地点 | 指針値を超えた地点 |
|---|---|---|---|
| 2023年度 | 39 | 2,078地点 | 242地点 (22都府県) |
| 2024年度 | 47 | 3,941地点 | 629地点 (26都府県) |
指針値を超えた地点は、2023年度の242地点から2024年度は629地点に増えました。ただし、測定した地点も2,078から3,941へとほぼ倍になっています。調べる範囲を広げたことで見つかった面があり、汚染そのものが同じ割合で広がったとは言えません。[1][5]
- 地下水 496地点
- 河川 132地点
- 湖沼 1地点
- 海域 0地点
629地点のうち130地点は、2024年度に新しく超過が分かった地点です。残りは、以前から超過が続いている地点 (282) と、汚染の範囲を確かめるために周りを調べた地点 (217) でした。[1]
水道では、2020年度から2025年8月末までに検査をしたことがある3,201事業のうち、暫定目標値 (現在の水質基準と同じ値) を超えたことがあるのは19事業でした。最新の検査では、18事業が対策を終えて目標値を下回り、残る1事業は応急の対応をしています。[3]
PFAS以外の物質も監視されています。川・湖・海では、鉛や農薬など人の健康にかかわる27項目について、2024年度の環境基準の達成率は99.1%でした。[1]
なぜ起きる?
主な伝わり方の1つ目は、物質そのものの性質です。PFOSやPFOAは自然の中でほとんど分解されません。今は新しく作られていなくても、過去に出たものが土や地下水に長く残ります。[4]
2つ目は、汚染源を突き止める難しさです。使われた場所や時期が古く、記録が残っていないことがあります。地下水はゆっくり動くため、どこから来たのかを調べるには多くの地点での測定が必要です。
3つ目は、科学的な評価が定まりきっていないことです。食品安全委員会は2024年6月、体重1キログラムあたり1日20ナノグラムを、PFOSとPFOAそれぞれの耐容一日摂取量 (毎日とり続けても健康への悪影響がないと推定される量) としました。一方で、どの量でどんな影響が出るかについて、国際的にそろった評価はまだありません。[6][4]
このため、基準の決め方や対策の急ぎ方について、見方が分かれます。調査や浄化には費用がかかり、誰が負担するのかも課題になります。
よくある誤解
よくある誤解
「PFASはすべて同じように危険だ」
実際は
PFASは1万種類以上あるとされる物質の総称です。環境省は、規制の対象になっているPFOSやPFOAなどと同じ有害性が、ほかのすべてのPFASで確認されているわけではないと説明しています。物質ごとに調べる必要があります。[4]
どんな選択肢がある?
どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。
基準をより厳しくする
- 期待できること
- 体に入る量をさらに減らせ、不安を小さくできる可能性があります。より低い値を定めている国もあります。
- 負担・副作用
- 浄水設備や検査の費用が増え、水道料金に影響することがあります。科学的な根拠がまだ固まっていない段階では、どこまで厳しくするかの判断が難しくなります。
調べる地点と物質を広げる
- 期待できること
- これまで気づかれなかった汚染を早く見つけ、飲み水に使われるのを防げます。
- 負担・副作用
- 検査には費用と専門の機器・人手が必要です。超過が見つかった地域では、不安や風評への対応も求められます。
汚染源を特定し、原因者に対策を求める
- 期待できること
- 汚染を元から止められ、費用を原因者が負担する形にできます。
- 負担・副作用
- 古い汚染では原因を特定できないことがあります。使った当時は規制されていなかった場合、責任の範囲について意見が分かれます。
健康への影響の調査と情報提供を進める
- 期待できること
- 血液中の濃度と健康の関係などが分かれば、基準や対策を根拠にもとづいて見直せます。
- 負担・副作用
- 結果が出るまでに長い時間がかかります。個人の検査結果だけでは健康への影響を予測しにくく、伝え方に注意が必要です。
これから見るべき指標
- 川・地下水で指針値を超えた地点の数
- 自治体が測定した結果を環境省がまとめ、毎年度公表します。測定地点の数も合わせて見る必要があります。
- 水質基準を超えた水道事業の数
- 2026年4月から検査が義務になりました。超過の有無と、対策が終わったかどうかを見ます。
- 耐容一日摂取量などの科学的な評価
- 新しい研究結果が出ると見直されることがあります。基準値の根拠になります。
- 規制の対象になる物質の広がり
- PFOS、PFOAに続いて、ほかのPFASも国際条約や国内の法律で順に規制の対象になっています。
ほかの問題とのつながり
この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。
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地域とインフラ
水道・下水道老朽化と水資源管理
記事あり水源からPFOSやPFOAが見つかると、水源の切り替えや浄水設備の追加が必要になり、水道事業の費用が増えます。
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気候・自然・災害
廃棄物処理・資源循環
記事あり化学物質を含む製品や泡消火薬剤を捨てるときは、環境に漏れ出さないように処理する必要があります。
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気候・自然・災害
生物多様性・生態系劣化
記事あり分解されにくい化学物質は、水や食べ物を通じて生き物の体にたまり、生態系に影響するおそれがあります。
出典・更新日
データ確認日:
- [1] 環境省「令和6年度公共用水域水質測定結果及び地下水質測定結果について」 公表: 2026年3月 / 確認: 2026年10月11日
- [2] 環境省「「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」及び「水道法施行規則の一部を改正する省令」の公布等について」 公表: 2025年6月 / 確認: 2026年10月11日
- [3] 国土交通省・環境省「水道におけるPFOS及びPFOAに関するフォローアップ調査の結果について」 公表: 2025年12月 / 確認: 2026年10月11日
- [4] 環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について よくある質問」 確認: 2026年10月11日
- [5] 環境省「令和5年度公共用水域水質測定結果及び地下水質測定結果について」 公表: 2025年4月 / 確認: 2026年10月11日
- [6] 食品安全委員会「評価書 有機フッ素化合物(PFAS)」 公表: 2024年6月 / 確認: 2026年10月11日
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