暮らしと経済
オーバーツーリズムとは? 観光客の急増で何が起きているのか
オーバーツーリズムとは、観光客が一部の場所や時間に集中し、住民の暮らしや旅行者の満足度に悪い影響が出ることです。2025年に日本を訪れた外国人は約4,268万人で、過去最多でした。観光は地域の大きな収入源ですが、混雑や人手不足、海外の事情で客足が急に変わるリスクも抱えています。
データ確認日:
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訪日外客数
4,268万3,301人
2025年 (確定値)
-
訪日外国人旅行消費額
9兆4,549億円
2025年 (調査にもとづく推計)
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外国人延べ宿泊者数のうち三大都市圏 (8都府県) の割合
66.3%
2025年 (確定値)
原因から影響までの流れ
- 訪日需要の急増
- 行き先と時期の集中
- 観光依存・オーバーツーリズム
- 住民生活への影響・人手不足・需要急変のリスク
矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。
いま何が起きている?
2025年の訪日外客数は4,268万3,301人 (確定値) で、前の年より15.8%増え、過去最多でした。コロナ禍前の2019年 (3,188万2,049人) を1,000万人以上上回っています。[2]
消費も増えています。2025年に訪日外国人が日本で使ったお金は9兆4,549億円と推計され、過去最高でした。[4]
一方で観光庁は、観光客が集中する一部の地域や時間帯で、過度の混雑やマナー違反による住民生活への影響や、旅行者の満足度の低下が懸念されるとしています。2023年10月には、政府の対策パッケージが決まりました。[6]
2026年は流れが変わっています。1〜8月の訪日外客数は2,762万6,300人 (7月・8月は推計値、ほかは暫定値) で、前の年の同じ時期より2.7%減りました。韓国は21.2%、台湾は19.8%増えましたが、中国は56.7%減りました。JNTOは8月の中国について、中国政府から日本への渡航を避けるよう注意喚起があったことなどを挙げています。[1]
数字で見る
- 2015年 1,973.7万人
- 2019年 3,188.2万人
- 2021年 24.6万人
- 2023年 2,506.6万人
- 2024年 3,687万人
- 2025年 4,268.3万人
2019年に3,188万人だった訪日外客数は、コロナ禍の2021年に24万5,862人まで減り、2025年には4,268万人になりました。短い期間に大きく上下しています。[2]
| 地域 | 延べ宿泊者数 | 構成比 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 全国 | 1億7,992万人泊 | 100% | +9.4% |
| 三大都市圏 (8都府県) | 1億1,936万人泊 | 66.3% | +5.1% |
| 地方部 | 6,056万人泊 | 33.7% | +19.1% |
延べ宿泊者数は、泊まった人数に泊数をかけた数です。三大都市圏は、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫の8都府県を指します。東京都だけで6,011万5,730人泊あり、全国の約3分の1です。[3]
地方部の割合は、2023年の28.5%から2025年は33.7%に上がりました。それでも、外国人の宿泊の約3分の2は三大都市圏に集まっています。[3]
なぜ起きる?
主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は、需要が急に増えたことです。JNTOは、多くの市場で円安傾向が続いているとしています。日本での買い物や宿泊が割安に感じられることが、旅行先に選ばれる理由の一つと考えられます。[1]
2つ目は、行き先と時期の偏りです。道路や公共交通、ごみ処理などは、おもに住民の数に合わせて作られています。想定を超える人が一部の場所に集まると、暮らしに影響が出やすくなります。[3]
3つ目は、受け入れる側の人手です。観光白書は、宿泊業・飲食サービス業で人手不足を感じる企業の割合が高く、宿泊業の賃金は全産業より低い傾向にあるとしています。[4]
観光に頼ることには別のリスクもあります。感染症、災害、外交関係などで客足は急に変わります。増えても減っても、地域が振り回されやすい面があります。
よくある誤解
どんな選択肢がある?
どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。
訪問先と時期を分散させる
- 期待できること
- 混雑がやわらぎ、観光客が少なかった地域にも収入が生まれます。政府は2030年に、訪日外国人の地方部での延べ宿泊者数を1.3億人泊にする目標を掲げています。[5]
- 負担・副作用
- 有名な観光地に行きたいという希望は変えにくく、効果が限られることがあります。分散先でも、交通や人手の整備が必要です。
入場の予約制や人数制限を導入する
- 期待できること
- 混雑を直接おさえられ、自然や文化財の傷みも減らせます。
- 負担・副作用
- 行きたい人が行けなくなり、周辺の店や宿の売上が減ることがあります。管理の費用と手間もかかります。
観光客に費用を負担してもらう (宿泊税、入域料、国際観光旅客税など)
- 期待できること
- 対策の財源になります。日本を出国する人にかかる国際観光旅客税は、2026年7月1日に1,000円から3,000円に引き上げられ、関係予算は2025年度の490億円から1,300億円に増えました。[4]
- 負担・副作用
- 旅行者の負担が増えます。国際観光旅客税は、出国する日本人も払います。集めたお金の使い道が、住民の実感につながるかが問われます。
人数より1人あたりの消費額を重視する
- 期待できること
- 同じ収入をより少ない人数で得られれば、混雑と人手不足の両方をやわらげられます。政府は訪日外国人1人あたりの消費額を25万円にする目標を掲げています (2025年は速報値で22.9万円)。[5]
- 負担・副作用
- 宿泊費などが上がり、日本人や予算の少ない旅行者が利用しにくくなることがあります。高価格帯の客に頼る地域ほど、景気の影響を受けやすくなります。
これから見るべき指標
- 訪日外客数
- 日本政府観光局 (JNTO) が、毎月、前の月の推計値を公表します。2026年8月分は9月16日に公表されました。
- 訪日外国人旅行消費額
- 訪日外国人が日本で使ったお金の合計です。観光庁の調査にもとづく推計で、観光白書にも載ります。
- 外国人延べ宿泊者数の三大都市圏と地方部の割合
- 宿泊がどれだけ大都市に集中しているかを示します。観光庁の宿泊旅行統計調査で、月ごとと年間の値が公表されます。
- 観光客の誘客と住民生活の質の両立に取り組む地域の数
- 第5次観光立国推進基本計画で新しく設けられた目標です。2025年の47地域を、2030年に100地域にするとしています。
ほかの問題とのつながり
この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。
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暮らしと経済
労働力不足
記事あり宿泊や飲食の仕事は人手に頼る部分が大きく、観光客が増えるほど働き手の不足が表に出ます。
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地域とインフラ
地域公共交通の維持
記事あり観光客で路線バスなどが混み、住民が乗りにくくなる地域があります。一方で、観光客の利用が路線の維持を助ける面もあります。
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地域とインフラ
文化財・地域文化の担い手不足
記事あり祭りや文化財は観光の資源です。収入が保存に役立つ一方、混雑や傷みへの対応が担い手の負担になることもあります。
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気候・自然・災害
廃棄物処理・資源循環
記事あり観光地ではごみが増え、ポイ捨てや収集の負担が課題になります。処理の費用を誰が負担するかも論点です。
出典・更新日
データ確認日:
- [1] 日本政府観光局 (JNTO)「訪日外客数 (2026年8月推計値)」 公表: 2026年9月 / 確認: 2026年10月11日
- [2] 日本政府観光局 (JNTO)「国籍/月別 訪日外客数 (2003年〜2026年)」 公表: 2026年9月 / 確認: 2026年10月11日
- [3] 観光庁「宿泊旅行統計調査 (2025年・年間値 (確定値))」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日
- [4] 観光庁「令和8年版観光白書について (概要版)」 公表: 2026年7月 / 確認: 2026年10月11日
- [5] 観光庁「観光立国推進基本計画 (第5次、令和8年3月27日閣議決定) 概要等」 公表: 2026年3月 / 確認: 2026年10月11日
- [6] 観光庁「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた取組」 公表: 2026年4月 / 確認: 2026年10月11日
誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。