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暮らしと経済

犯罪・治安の変化とは? 街の犯罪から、だます犯罪へ

日本の犯罪は、20年ほど前に比べると大きく減りましたが、ここ4年は続けて増えています。なかでも電話やSNSを使って人をだます詐欺の被害が急に大きくなりました。2025年の特殊詐欺の被害額は約1,423億円で、高齢者だけでなく20代や30代にも被害が広がっています。

データ確認日:

原因から影響までの流れ

  1. スマホ・SNS・ネット決済の広がり
  2. 匿名で集まり入れ替わる犯罪グループ
  3. 詐欺・サイバー犯罪の増加
  4. お金の被害と治安への不安

矢印は、統計的に証明された因果関係ではなく、主な伝わり方を示しています。

いま何が起きている?

警察が発生を把握した犯罪の数を認知件数といいます。2025年の刑法犯の認知件数は77万4,142件で、前の年より3万6,463件 (4.9%) 増えました。戦後最も少なかった2021年から4年続けて増え、コロナ禍の前の2019年を上回りました。[1]

目立つのは詐欺です。電話などで相手をだまし、会わずにお金を振り込ませる特殊詐欺は、2025年に2万7,832件、被害額は約1,423億円で、どちらも過去最多でした。SNSで知り合った相手に投資や恋愛の話を持ちかけられてお金を取られるSNS型投資・ロマンス詐欺も、1万5,168件、約1,834億円で過去最多です。[2]

警察官を名乗って「あなたに容疑がかかっている」などと言い、お金を振り込ませる手口 (ニセ警察詐欺) が、特殊詐欺の認知件数の39.6%を占めました。この手口の被害の件数は30代が最も多く、次が20代です。[2]

数字で見る

刑法犯の認知件数の推移 (各年の確定値)
  • 2002年 285.4万件
  • 2019年 74.9万件
  • 2021年 56.8万件
  • 2024年 73.8万件
  • 2025年 77.4万件

出典: 警察庁「令和7年の犯罪情勢」

長い目で見ると、刑法犯は2002年の約285万件から大きく減っています。一方、お金や物をねらう犯罪 (財産犯) の被害額は、2025年に約4,984億円となり、過去最多だった前の年をさらに上回りました。このうち詐欺による被害が約4,029億円を占めます。[1]

詐欺の認知件数と被害額 (各年の確定値)
種類2024年2025年
特殊詐欺 (件数)2万1,043件2万7,832件
特殊詐欺 (被害額)718.8億円1,423.1億円
SNS型投資・ロマンス詐欺 (件数)1万237件1万5,168件
SNS型投資・ロマンス詐欺 (被害額)1,271.9億円1,834.3億円

出典: 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について (確定値)」

インターネットを使った犯罪も続いています。データを使えなくして金銭を要求する不正プログラム (ランサムウェア) の被害は、2025年に企業や団体から226件の報告がありました。インターネットバンキングの不正送金は4,747件、被害額は約104.0億円で、被害額は過去最多でした。[1]

なぜ起きる?

主な伝わり方は3つあると考えられています。1つ目は、道具の変化です。スマートフォンやSNS、ネット決済が広がり、相手と会わずに、遠くからでも多くの人に近づけるようになりました。警察庁は、特殊詐欺などで海外から指示が出されている実態があるとしています。[1]

2つ目は、犯罪グループの形の変化です。SNSなどで実行役を集め、メンバーが入れ替わりながら犯罪をくり返す集まりを、警察は匿名・流動型犯罪グループと呼んでいます。2025年にこうしたグループによるとみられる主な資金獲得犯罪で検挙された人は6,679人で、20代までの若い世代が約6割でした。約3割は、SNSの募集情報がきっかけでした。[1]

3つ目は、ねらわれる人の広がりです。特殊詐欺の被害者のうち65歳以上が占める割合は、2025年に51.3% (法人の被害を除く) で、前の年より14.0ポイント下がりました。若い世代の被害が増えたためです。[2]

治安の感じ方も変わっています。警察庁が2025年10月に行ったアンケート (15歳以上の5,000人、インターネット調査) では、日本の治安を「よいと思う」人が60.3%でした。一方で、この10年で「悪くなったと思う」人は79.7%でした。[1]

よくある誤解

よくある誤解

「日本の犯罪は、年々増え続けている」

実際は

刑法犯の認知件数は2003年から2021年まで減り続け、2002年の約285万件から2021年には約57万件になりました。その後は4年続けて増え、2025年は約77万件です。長い目では減り、ここ数年は増えている、という両方を見る必要があります。[1]

よくある誤解

「詐欺にだまされるのは高齢者だけだ」

実際は

警察官を名乗る手口の特殊詐欺では、2025年の認知件数は30代が2,239件で最も多く、次が20代の1,718件でした。被害額で見ると70代が274.6億円で最も多く、世代によって被害の出方が違います。[2]

よくある誤解

「認知件数が増えたら、それだけ犯罪が増えたということだ」

実際は

認知件数は、警察が把握できた数です。被害に気づかない場合や、届け出ない場合は含まれません。届け出る人が増えれば件数も増えるため、実際の発生数とぴったり同じとは限りません。

どんな選択肢がある?

どれかひとつが正解というわけではありません。それぞれに、期待できることと、負担や副作用があります。

電話・口座・SNSなど、犯罪に使われる道具への対策を強める

期待できること
だましの電話や偽の広告が届く前に止められれば、被害を元から減らせます。
負担・副作用
本人確認や利用制限が厳しくなると、ふつうの利用者の手間が増えます。通信の内容や取引をどこまで見てよいかという、プライバシーの問題もあります。

捜査の体制と手法を強める

期待できること
指示役や資金の流れまでたどれれば、グループそのものを弱らせることが期待できます。
負担・副作用
人員や費用が必要です。新しい捜査手法を広げる場合は、行きすぎを防ぐ歯止めをどう置くかが議論になります。

被害にあう前の注意喚起と、相談しやすい環境をつくる

期待できること
手口を知っていれば、途中で気づいて止まれる可能性が高まります。家族や金融機関の窓口での声かけも役立ちます。
負担・副作用
手口は次々に変わるため、知らせる内容がすぐ古くなります。情報が届きにくい人ほど被害にあいやすいという課題も残ります。

若い世代が犯罪に加わらないようにする

期待できること
実行役の応募を減らせれば、グループは人を集めにくくなります。
負担・副作用
生活の苦しさや孤立が背景にある場合、注意の呼びかけだけでは足りず、仕事や相談の支援など時間のかかる取り組みが必要です。

これから見るべき指標

刑法犯の認知件数
警察庁が毎年2月ごろに前年分の「犯罪情勢」を公表します。人口千人当たりの件数もあわせて見ると比べやすくなります。

出典: 警察庁「令和7年の犯罪情勢」

特殊詐欺の認知件数・被害額
年間の確定値のほか、月ごとの暫定値も公表されます。手口別、年代別の内訳があります。

出典: 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について (確定値)」

SNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数・被害額
特殊詐欺とは別に集計されています。同じ資料で公表されます。

出典: 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について (確定値)」

ランサムウェア被害の報告件数
企業や団体から警察庁に報告された件数です。2025年は226件でした。

出典: 警察庁「令和7年の犯罪情勢」

治安に関するアンケート調査
治安をどう感じているかを尋ねる警察庁の調査です。直近は2025年10月に行われました。

出典: 警察庁「令和7年の犯罪情勢」

ほかの問題とのつながり

この課題は、次の課題の原因や結果になっています。つながりは「主な伝わり方」であり、統計的に証明された因果関係とは限りません。

  • 技術と未来

    ランサムウェアや不正送金など、インターネットを使った犯罪は、企業や病院の仕事を止めることがあります。

  • 政治・制度

    有名人になりすました偽の広告や偽の情報が、投資詐欺の入り口として使われることがあります。

  • 暮らしと経済

    身近に相談できる人がいないと、だまされていることに気づきにくく、被害が大きくなりやすいと考えられます。

出典・更新日

データ確認日:

  1. [1] 警察庁「令和7年の犯罪情勢」 公表: 2026年2月 / 確認: 2026年10月11日
  2. [2] 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について (確定値)」 公表: 2026年5月 / 確認: 2026年10月11日

誤りや古い数字を見つけたら、GitHub でこの記事のデータを直して Pull Request を出すか、Issue で教えてください。